石坂正師 貫いた馬本位「未練は何もない」ジェンティルドンナなど手掛けた名伯楽が引退

 28日を最後に角居勝彦(56)、石坂正(70)、松田国英(70)、西浦勝一(70)、田所秀孝(70)、西橋豊治(70)、湯窪幸雄(70)、星野忍(70)の調教師8人がトレーナー人生に幕を下ろす。指揮を執るラストウイークを迎え、その胸中を語った。

 その表情は晴れやかだ。引退を前に、石坂正師は、「未練は何もない」と言い切った。98年に開業し、JRA通算690勝。3冠牝馬ジェンティルドンナ、中央と地方でG1・9勝を挙げたヴァーミリアンなど、数々の名馬を手掛けてきた。「ジェンティルにはたくさん勉強させてもらった。ヴァーミリアンもそうだし、みんなが厩舎を支えてくれた」と感謝の思いは尽きない。

 事あるごとに、「故障するくらいなら走らなくていい」と繰り返してきた。「レースは馬にとって戦場。死んで帰ってくることは一番恐れること」。管理馬の故障が相次いだ際には、神戸市の馬頭観音妙光院で無事を願った。貫いてきた馬本位の姿勢は、最後まで変わることはない。

 最終週は土曜阪神9Rシャイニーゲールの1頭。「無事に回ってきてくれたらそれでいい。やったことがない距離だけど、スタミナがあるからいい方に出るかも。少しでも前に来てくれたら」と自然体で送り出す。「引退したらファンに戻って馬券を買います」。立場は変わるが、これからも馬とともに生き続ける。

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