【日本ダービー】福永 シャフリヤールで史上3人目連覇 歴代2位ダービー3勝目
「日本ダービー・G1」(30日、東京)
無敗皐月賞馬との火花散るたたき合いを制したのは4番人気のシャフリヤール。2分22秒5のダービーレコード(従来は19年ロジャーバローズの2分22秒6)を刻み、鼻差で7398頭の頂点に立った。福永祐一騎手(44)=栗東・フリー=は20年のコントレイルに続く連覇を決め、歴代2位となるダービー3勝目を達成。通算G1勝利も区切りの30勝に到達した。
44歳のベテランと22歳の若武者が必死にムチをふるう。さあ、どっちだ。ゴールに飛び込んだ2頭の差は約10センチ。写真判定を確認した福永が馬上で小さくガッツポーズを決めた。「スタッフとともに、ここに向けてつくり上げてきた結晶。ホースマン冥利(みょうり)に尽きます」。7398頭の頂点に立ったのは4番人気のシャフリヤール。無敗2冠を狙ったエフフォーリアの夢を打ち砕いた。
序盤の位置取りは完璧だったが、1角を回ったところで誤算が生じた。急激にペースが落ちて馬群が凝縮。そこからは我慢の連続だった。直線では他馬と接触し、内へ切り替えるロスもあった。
それでも勝利の神様は見捨てなかった。視界が開けると右ステッキを連発。それに応えるように、先に抜け出した皐月賞馬に迫った。「どのタイミングでゴール板を過ぎたのかは分からなかった。普通なら届かない。300メートル過ぎからの伸びは素晴らしかった」と振り返り、直線で火花を散らした横山武とエフフォーリアには「自分も昨年は大変な重圧を経験した。まして彼は22歳。大変な重圧の中、素晴らしい騎乗だったと思う。馬も、チャンピオンホースとして素晴らしい走りだった」と称賛した。
主戦にとっては20年のコントレイルに続く連覇達成。くしくも、そのコントレイルが無敗の3冠馬に輝いた10月25日に、新馬勝ちしたのがシャフリヤールだった。「この馬でクラシックに行こうと思った」。成長を促す意味で皐月賞はパスしたが、毎日杯でレコードVを決めて夢舞台へ。見事に最上の結果を出した。
18年ワグネリアンで福永家の悲願を成し遂げ、20年コントレイルでは無敗戴冠の重圧をはねのけた。そして今回。かつて渇望したタイトルは、最も勝ったタイトルの一つとなった。「そこ(18年)で勝った経験があったからこそ」と感慨深げな表情をのぞかせたユーイチは“個人的なことなんですが”と断りを入れ、「病院にいる、おじいちゃんも見てくれていたと思う。勝ちましたよ」と、親族へテレビ画面を通して勝利報告した。世代の頂点へ導いたとはいえ、まだ道は半ば。才気あふれるディープインパクト産駒とともに、これからも勲章を積み重ねていく。