ガーネツト、スターロツチ 低評価覆しつかんだ栄光 有馬記念の歴史に残る偉大な牝馬

 目下2年連続で牝馬が頂点に立っている暮れのグランプリ。当連載では過去に有馬を制した牝馬にスポットを当てた。初回は59年ガーネツトと60年スターロツチ。中央競馬の黎明期を彩った2頭を振り返る。

  ◇  ◇

 大胆騎乗が功を奏した。1959年、史上初めて牝馬で有馬記念を制したガーネツト。9番人気の低評価を覆し、頂点をつかんだ。

 レース当日はあいにくの不良馬場。道悪が苦手のガーネツトにとっては厳しい条件だった。そこで鞍上・伊藤竹男は3角から4角にかけてじんわりと進路を外へ取り、直線に入ってからは1頭だけ外ラチ沿いを通る奇襲に出た。結果、馬場の真ん中から伸びてきたハタノボルをあっさりかわし、最後は4馬身差をつけて圧勝した。

 ぜひ、ネットで当時の映像を見ていただきたい。直線に入って画面から消えたと思ったら、ゴール前で突如として再登場。そんな珍しいシーンが残っている。

 翌60年の暮れは同年の皐月賞とダービーを制したコダマと菊花賞を勝ったキタノオーザに秋の天皇賞覇者オーテモン。前年の皐月賞馬ウイルデイールとダービー馬コマツヒカリもおり、八大競走優勝馬が集結。そんな豪華メンバーで行われた年末のグランプリを制したのは、これまた9番人気の牝馬スターロツチだった。

 レースはスターロツチとヘリオスが主導権を握る形。有力馬がけん制し合ったことが功を奏し、スターロツチは自分のリズムを刻むことができた。直線で1番人気オーテモンが追い上げてきたものの、時既に遅し。1馬身3/4差をつけてゴールを駆け抜けた。

 長い有馬記念の歴史の中で、3歳牝馬(当時の表記は4歳)による優勝はいまだスターロツチのみ。偉大な記録として後世に語り継がれている。

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