今村聖奈「父よりうまくなりたい」 今週末デビューJRA現役4人目女性騎手は父も元騎手
今週から東西でJRA新人ジョッキーがデビューする。中でも注目は現役4人目となる女性ジョッキー・今村聖奈(18)=栗東・寺島=だ。父は01年にユウフヨウホウで中山大障害を制した今村康成元騎手。競馬界に誕生した新たなヒロイン候補が、物おじしない性格と確かな技術を武器にファンを魅了する。
騎手になりたい-。憧れの舞台で一つの夢がかなう。現役4人目の女性ジョッキーとしてデビューする今村聖奈。「やっとスタートラインに立てる、という感じ。たくさんの人に協力してもらったおかげなので、常に感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います」。刻一刻と迫るレースを心待ちにした。
乗馬を始めたのは小学5年生だった。「コミュニケーションを取るのが得意で人見知りをしないのが強みだと思います」。そんな明るい性格がベース。運動が得意で体操、バレーボールなどソツなくこなしたが、情熱を注いだのは馬乗りだった。「父の背中を追って、父よりうまくなりたいという気持ちが強くなった。ジョッキーって格好いいな、と。勝てばうれしいし、負ければ悔しい。魅力的だと思った」と目を輝かせる。
13期生として騎手デビューした康成さん(現在は飯田祐厩舎の調教助手)の愛娘。父の同期に板倉真由子さん、押田純子さんと2人の女性騎手がいたことから、女性騎手が活躍することの難しさを教えられたという。「藤田菜七子さんや、地方の女性ジョッキーなどがいて、すごくいい環境の中デビューができる。女性として注目されることは分かっていますが、技術で目立てるようになりたい。“あれ?女の子なの?”と言われるぐらい格好いい騎乗を見せられたら」。しっかりした口調が強い意志を物語る。
初陣は5日の阪神1R(牝馬限定ダート1800メートル)。リンギングフォン(牝3歳)に騎乗する。「楽しみですね。緊張しないタイプなんです。1勝目はなるべく早く挙げたい。模擬レースで2着や3着はあったけど、1回も勝つことができなかったので。誰よりも早く、ゴールを駆け抜けたい」。負けず嫌いの性格と優れた技術が持ち味。ニューヒロインに注目だ。
◆今村聖奈(生年月日)03年11月28日(身長)158.5センチ(体重)48.4キロ(出身)滋賀県(所属厩舎)栗東・寺島厩舎(趣味)馬と触れあうこと(特技)ボールペン字(目標とする人)武豊騎手、幸英明騎手(尊敬する人)父(座右の銘)人馬一体(競馬サークル関係者)父・今村康成=元騎手、栗東・飯田祐厩舎調教助手
◆師匠の寺島師「すごく明るくていい性格。しっかりしています。僕からどうこう言ったことがないです。馬乗りは上手だと思いますが、あとは競馬で追った時にどうかですね。競馬のセンス、経験はやっていかないと身につきませんから。4キロ減は間違いなくプラスですし、それを生かして思い切った騎乗を。不安より楽しみの方が大きいです」
◆父・康成助手「ジョッキーになりたいと言った時、“女の子だし仕方がない”“女の子だしアカン”と言われる世界だぞ?やれるのか?と聞いたら、『女の子やのにすごいと認めてもらえる騎手になる』と言い切ったんです。それだけ言えたら大丈夫だと思いました。根っからの馬好きで、勝ち気。女の子というよりも男の子のような性格です」