【弥生賞】アスクビクターモアV 3戦負けなし!中山のスペシャリストが名乗り

 ゴール前で激しく競り合うアスクビクターモア(左)とドウデュース(中央)。右はボーンディスウェイ
 グータッチする田辺(右)と田村師
2枚

 「弥生賞ディープインパクト記念・G2」(6日、中山)

 新星の誕生だ。皐月賞(4月17日・中山)の最重要トライアルを制したのは、唯一のディープインパクト産駒で3番人気のアスクビクターモア。2番手からの横綱相撲で昨年の最優秀2歳牡馬ドウデュースを撃破し、堂々と初タイトルを獲得した。3着ボーンディスウェイまでがクラシック1冠目の優先出走権を手に入れた。

 これぞ肉を切らせて骨を断つ-。まだ幼さを残し、道中で掛かる不安を抱えていたアスクビクターモアを、鞍上の田辺は「遅い流れで後ろにいるのが嫌だった」と迷いなく2番手へと導く積極策。「消極的な競馬はしない方がいい。仮に引っ掛かってもあとで考えればいいし、思い切って行きなさい」という田村師のアドバイスが、力強く背中を押した。

 満を持して迎えたラストの直線。残り2Fで逃げるリューベックをかわすと、後ろから無敗の2歳王者ドウデュースが間隔を詰めてくる。だが、その末脚に鋭さはない。「じりじり迫ってきた気配は感じたけど、しのげる感じがあった」と鞍上。急坂を駆け上がり、ゴール前で二枚腰を発揮。ライバルを封じて、父の名が刻まれたタイトルを獲得した。

 これでデビューから5戦3勝。東京コースで2度敗れているが、中山コースでは3戦負けなしと無類の強さを誇る“スペシャリスト”。指揮官は「(中山は)4回コーナーがあるから何とかごまかせる。クラシックディスタンスにこだわってきたし、このレースは本当に狙っていた」と思惑通りの結末にしてやったりの表情だ。

 「エンジンがずばぬけていい。体はまだひ弱だけど、心肺機能はすごく良かった」とトレーナーが身体能力の高さを伝えれば、田辺も「体を大きく使って走れて能力は高い。メンタルが落ち着けばなおいいし、まだ成長の余地があるので楽しみ」と伸びしろの大きさを強調した。皐月賞と同じ舞台で輝きを放った新星が、クラシック最初の頂をはっきりと視界にとらえた。

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