【ボート】遠藤エミ「これから」歴史変えた女子初のSG制覇 得意の大村でグランプリ獲りたい

 SG初Vを飾り笑顔で拳を握る遠藤エミ
 ボートレースクラシック優勝戦を制し、優勝カップを手にVサインを見せる遠藤エミ(撮影・北村雅宏)
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 ボートレース70年の歴史に、新たなページが加わった。史上初、女子選手のSG優勝だ。3月21日に大村で行われた22年最初のSG戦となったボートレースクラシックで、遠藤エミ(34)=滋賀・102期・A1=が優勝を飾った。ついにボート界は新たな時代に突入した。SG覇者となった遠藤を直撃。史上初の快挙と、さらなる高みを目指し、年末のグランプリへの意欲を語った。

 ◇  ◇

 -何度も言われていると思いますが、改めてSG優勝おめでとうございます。

 「ありがとうございます。みんなからたくさんのおめでとうメールを頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。みんなが喜んでくれて本当にうれしいです」

 -家族も大喜びだったのでは。こんな偉業達成者が、家族というのもそうないですよね。

 「えー!そうですか。でも家に帰った時は、みんな泣いて喜んでくれました。少しは家族孝行できたかな」

 -少しどころではないですけどね。SGレーサーとなって何日かたちましたが、何か変わりましたか。

 「うーん。取材とかは多くなりましたが、自分的には普通に過ごしています」

 -遠藤さんらしいですね(笑)

 「でも、もしかしたら自分って自覚が足りないの?って。周りの盛り上がり方に対して、自分は…って考えちゃいますね」

 -そのくらいでないと、偉業は達成できないのかもね。SG優勝戦の1日を振り返ってください。

 「忘れちゃったことが多いですが、準優勝戦の日から緊張していたし、優勝戦の日はそわそわしてました」

 -ピットで見ていましたが、いつも淡々と過ごしているのに、あの時は、やっぱり何か違いましたね。

 「展示が終わってからは、控室でも座っていられず、ずっと立ち上がってうろちょろしてました。まだかな、早く本番来ないかなって思いながら」

 -本当にそうですね。長かったよねあの時間。

 「そうですね。G1の優勝戦も緊張しましたが、あの時間はめちゃくちゃ長く感じましたね」

 -そして本番です。未知の世界に突入ですね。

 「そうですね。あんなに呼吸が浅くなったことがなかったですよ。今まで」

 -そこまで!

 「レースはターンマークを回るまではちゃんと呼吸しようと思って、呼吸を意識して行きました。1Mまではまだ緊張していたけど、2周目のホームに向いてからは、何か考えるとかではなく、レースに集中できました」

 -ゴールした瞬間はどうでした。

 「何か自分でもよく分かってなくて、信じられなかった」

 -ゴールした時は大きく頭を下げてましたね。

 「感謝の気持ちが素直に出ました」

 -ガッツポーズが出るかなと思ったけど。

 「ガッツポーズは、そういうキャラじゃないので(笑)。本当に自分一人では出せない結果だと思っているので」

 -そうだよね。一番厳しかった準優は、6号艇に前本(泰和)選手がいて、厳しい進入になった。でも、3号艇にいた同じ滋賀支部の丸野(一樹)も、同期(102期)の前田(将太)も、ある意味、味方になってくれた形だよね。

 「そうですね。みんなに助けられて取れたSGだと思うし、感謝でいっぱいです」

 -目標だったSGを取りました。でもここからですよね。

 「1回取ったからもういいって感じはないです。これからって気持ちが大きい。今回は全てがうまく行ったし、2回目を取ればみんなに認めてもらえると思う」

 -SGを取ってさらに気持ちは強まったということですね。

 「そうですね。でも私的にはいつも通りやっていくだけ。SGにしっかりと出続けて、準備をしていきたい。SGを取ったからって一番なわけではないし、取ったから上手になったわけでもないですからね」

 -これで年末のグランプリ出場も見えてきました。

 「そこは意識しています。こんなチャンスはないし、せっかくのチャンスをつかみたい。できれば2ndからの6人を目指したい」

 -今年は大村でグランプリ(12月13~18日)です。

 「大村はクイーンズクライマックスも、SGも勝たせてもらったし、相性が良く縁がある。グランプリが取れたら最高のレース場になりますね」

 -一方で、女子のビッグレースもあるし、ここから忙しくなります。

 「休まずに走れるのが大事。体のケアもしっかりとして、新たな歴史を作っていきたいと思います」

 -みんな期待しています。

 「期待に応えられるように頑張ります」

 -きょうは本当にありがとうございました。

 ボートレースは、男女が全く同じ舞台で戦う。それだけに女子選手が男子のトップ選手たちを破ってSG優勝したことは、まさに歴史的な快挙。

 ただし、男女が全く同じ舞台で戦うが、最低体重の基準においては男女に差がある。男子選手の最低体重基準値は52キロで、女子選手の最低体重基準値は47キロ。男女で5キロの体重差がある。

 体重が軽い方が、直線では伸びて行くというメリットがある一方で、コーナーでの安定感なら体重が重い方が有利とも言える。

 ◇遠藤エミ(えんどう・えみ)1988年2月19日生まれ、34歳。滋賀県出身。102期生として、やまと学校(現ボートレーサー養成所)に入学。08年5月びわこタイトル戦でデビュー。初優勝は12年11月鳴門男女W優勝戦。17年12月のクイーンズクライマックス(大村)と、21年8月のレディースチャンピオン(浜名湖)を優勝。22年3月大村でのボートレースクラシックで女子史上初のSG制覇。通算ではV37。154センチ。血液型A。好きな食べ物は焼き肉。オフの日は選手仲間とのキャンプが趣味。選手になる前はパン屋で働いていたが、姉ゆみ(元ボートレーサー)に誘われて選手を目指した。通算獲得賞金額は4億6276万573円(24日現在)。

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