【日本ダービー】福永祐一インタビュー ジオグリフと3連覇へ「できたらいいな」
「日本ダービー・G1」(29日、東京)
18年ワグネリアンを皮切りに、20年コントレイル、21年シャフリヤールと近4年で何と4戦3勝。“令和のダービー王”福永祐一騎手(45)=栗東・フリー=が、皐月賞馬ジオグリフと挑む22年の競馬の祭典に向けて思いを語った。勝てば史上初のダービー3連覇となるが、当人は至って泰然自若。自然体で決戦の日を待つ。福永との主な一問一答は以下の通り
◇ ◇
-今週はいよいよダービー。皐月賞馬ジオグリフで挑む。
「(皐月賞は)全てがうまくいった。やりたい競馬ができて、最高の結果を得られたね」
-レースを振り返って。
「スタートが大きかったと思う。駐立が下手でジッと立っていられないけど、その中でいいスタートを切ってくれた。ポジションを取れたし、欲しいと思っていたところを他が取りにこなかったのもラッキー。枠も良かった。内が荒れていて、内枠だとあの競馬はできない。枠が左右する日だったからね」
-美浦で追い切りにも騎乗した。
「調教で特徴もつかめて、ポジションを取りに行ってもコントロールができるという感覚があった。レースはイメージ通りの走りをしてくれたね」
-ジオグリフはノド鳴りを抱えている。
「調教もレースも鳴っていた。ただ、パフォーマンス的には影響がないレベル。(ノド鳴りが)なかったらもっと走っているのかは分からないけど、G1を勝てるっていうぐらいの程度。今は関係者も“何で走れているの?”って思うところがあるんじゃないかな。引退まで大丈夫かもしれないし」
-この馬の良さは。
「総合力が高い。大きな武器があるというよりも、弱点が少なめ。課題はスタートぐらい。操作性の高さもあるし、レースセンスの高さも。すごい瞬発力があるわけじゃないけど、長く脚を使える。競り合いにも強くて器用さもあるね」
-母アロマティコにも騎乗していた。
「ゲートが難しい馬だった。悪癖の方が似るんやなぁ…。ただ、どれだけ似ているというよりも、あくまでもその馬が持っている能力がメインだと思う」
-木村厩舎とは相性もいい。
「プリモシーンが印象的。ゲートを出なくてモタれて走っていた。“首が悪いから見てもらって”って言ったら、やっぱり首が悪かった。それを直したらスタートも出るようになって、走りも良くなった。向上心が強いスタッフが集まっている厩舎。つくり上げて勝つっていう楽しさを感じているだろうし、ジオグリフも達成感があったと思う」
-2冠獲りに向けて注目が集まる。
「ダービーは器用さよりも絶対的な能力値の高さが求められる。あと一瞬の切れも。それでどう戦うか。ダービーと皐月賞は求められるものが違う」
-距離が2400メートルに延びる。
「お母さんは距離も持ったけど、ドレフォン産駒の傾向から距離が延びてさらにいいという血統じゃない。乗り難しくなることは一切ないが、追って伸びるかは分からない。今の感じで距離が持つかどうか。掛かる馬じゃないからね」
-自身にとっては史上初のダービー3連覇が懸かる。
「興味があるか?となるとないけどね(笑)。3連覇した人がいないし、権利があるのはオレだけだし。今回は皐月賞馬で臨むから、できたらいいな、とは思うよ」
-自身のダービー初制覇は18年ワグネリアンだった。
「あれ以上の感動はないよね。あと、ワグネリアンのダービー以降、レースを考察する時間が増えた。一番頭をひねったからね17番を引いて、どうやって勝てるねん、って。そのイメージを持つために、時間をかけて。見つけたポジション、騎乗法で勝てた。あれをしないと勝てない。そういう作業が必要だと実感した。それを実行できた成功体験。G1はフレキシブルな感じで向かって勝てるものじゃない。それまではつかめていない状況で挑んでいたんだとあの時に思った」
-20年にはコントレイルでV。
「あの時は何の不安もなかった。絶対に勝つと思っていたし、冷静だったね」
-21年はシャフリヤール。
「思い描いていたよりも悪いレース内容だったけど勝った。藤原厩舎ってのが、なお良かった。ワグネリアンが友道厩舎、コントレイルは前田オーナー。いい関係性の人たちと勝てて良かった」
-ダービーの勝ち方とは。
「オークスも3回勝っているし、ジャパンCも勝っているし、東京2400メートルはこう乗らないと、ってところはある程度つかめている。勝つためにやっちゃいけないこと、とかね」