【スプリンターズS】トゥラヴェスーラ勝たせたい 高橋康厩舎一丸でタイ獲る
「スプリンターズS・G1」(10月2日、中山)
高松宮記念で2年連続4着など年齢を重ねるごとに力を見せているトゥラヴェスーラ。過去には右前脚の骨折や度重なる鼻出血などアクシデントに見舞われてきたが、管理する高橋康之調教師(49)=栗東=を中心に、厩舎一丸となって乗り越えてきた。狙うは初のG1タイトル。三度目の正直で、苦難の先にある栄光をつかみ取る。
高松宮記念4着以来6カ月ぶりの復帰戦を迎えるトゥラヴェスーラ。困難を乗り越えた7歳のベテランの心身は、より一層充実している。3度目のG1の舞台で狙うはVのみ。管理する高橋康師も自信を持って送り出す。
痛恨だったのがその前走。後方から徐々に進出し、直線では突き抜けるような手応えを見せながら、外へモタれ伸びを欠いた。失速の原因はレース中に発症した鼻出血。師が「“たられば”ですけど、それがなかったら…」と悔やむほど絶好の感触だった。
「なるべく負担をかけたくなかった」と休養を経て直行ローテを選択。2カ月前に入厩し、スケジュール通りに調整を進めてきた。抜群の出来だったという前走と比較しても、「近い状況にはなってきています。いい状態ですよ」と満足そうにうなずく。
4歳時には右前脚の骨折で1年以上休養。今もボルトが入ったままだ。21年の京王杯SC2着後には鼻出血で9カ月の休養。そして前走と、幾度の不運にも見舞われたが、「2歳の時から虚弱なところはあったけど、いいものも持っていたからね」と、トレーナーは愛馬の能力を信じて疑わなかった。
平地G1制覇となれば、開業9年目の高橋康厩舎にとっては6度目の挑戦で初。「骨折の影響もあってバランス良く走れるようになるまでに、スタッフが相当苦労しているのを知っている。そして馬もね。努力したものがいい形になってくれれば。僕はあまり称号とか気にしないけど、馬そして携わった人に獲らせてあげたい」。厩舎一丸の努力で、待望のタイトルをつかむ。