【競輪】村上義弘が引退会見「心身ともに完全燃焼できた」
2012、16年のKEIRINグランプリ覇者でG1優勝6回を誇る競輪界のトップレーサー・村上義弘(48)=京都・73期・S1=が5日、都内の日本競輪選手会本部で引退会見を行った。9月29日に現役引退を電撃表明。9月10~12日の松阪F1開催がラストランとなった。
グランプリを2回、日本選手権V4などG1を6回制した村上が、スーツ姿で引退会見に臨んだ。“先行日本一”“魂の走り”と呼ばれて時代を築いたトップレーサーは「競輪選手として28年間、心身ともに完全燃焼できたと思う」と、既に走り終えたことを報告した。
バンクを去る決断は、9月10日から開催された松阪F1を走り終えたとき。出走表に自分の連対率が0パーセントと記されていた。その数字を見て「自分が納得のいくようなレースができていない。これ以上、ぶざまな姿を見せ続けてはいられない」と帰りの車中で決めた。
会見では司会者から弟で同じくグランプリ覇者でもある村上博幸(京都・86期)のメッセージを伝え聞き、言葉を詰まらせる場面もあった。弟には「強く当たったり、いろいろ迷惑をかけた。今後は兄弟として僕を喜ばせる走りをしてほしい」とエールを送った。
思い出のレースは数え切れない。それでも「プロの勝負師としてターニングポイントになった」と初めてG3決勝に進んだ地元の向日町記念を挙げる。「公私ともかわいがってもらった松本整さん(45期・引退)がゴール前、抜くために体をぶつけてきた。勝負の厳しさを教わった。その後の競輪人生の宝物になった」と振り返った。
今後については白紙。「自転車を忘れて家族孝行に努めたい」。ファンに感動を与え続けた激闘の日々から解放され、ホッとした表情を見せた。