【京都2歳S】グリューネグリーン逃走V 非業の死、兄ヴェルデグリーンの“生まれ変わり”
「京都2歳S・G3」(26日、阪神)
来春の歓喜を目指す若駒の熱き戦いを制したのは、5番人気の関東馬グリューネグリーン。ライバル14頭を引き連れて鮮やかに逃げ切り、自身はもちろん、父ラブリーデイにも重賞初タイトルをもたらした。
物見をするなど、まだ気性は子ども。「ゲートを出過ぎた」とM・デムーロが振り返るように、ハナに立ったのは計算外だった。それでも、外から他馬が来ると自らハミを取って冷静さを取り戻した。「集中してくれて良かった。この馬はワンペース。自分のリズムで走った方がいい」。直線では外にヨレる場面もあったが、最後まで脚色は鈍らない。トップを譲ることなく、見事に押し切った。
指揮官にとっても、この勝利は格別だ。祖母は99年オークスを制し、相沢厩舎初のG1馬となったウメノファイバー、そして半兄は重賞2勝を挙げたヴェルデグリーン-。兄は14年宝塚記念12着後、放牧先でガンに侵され、6歳の若さで非業の死を遂げているとあって、相沢師は「産まれた瞬間から“生まれ変わり”と思うぐらいにそっくりだった。僕だけ“走る、走る”と言っていたが、その通りになった」と同じ栗毛の弟の勝利に感慨深げだ。
今後について師は明言を避けたが、視線の先にはホープフルS(12月28日・中山)、そして来春のクラシックがはっきりと見えている。夢の続きをもう一度-。兄の無念を乗せた弟が、新たな景色を映し出す。