【ステイヤーズS】シルヴァーソニック 苦難乗り越え重賞初V 状態次第で有馬記念も選択肢
「ステイヤーズS・G2」(3日、中山)
中山のタイトなラチ沿いから、白い馬が突然現れた。6歳ですっかり白くなった芦毛の3番人気シルヴァーソニック。3600メートルの長丁場を走り抜き、鮮やかにインをすくっての重賞初制覇だ。
道中は中団前めの内で脚を温存。最後の直線、逃げたディアスティマとラチ沿いのスペースは1頭分あるかないかだった。それでもレーンは迷わず、そこにパートナーを導く。「スタートしてすぐにいい位置が取れた。最終コーナーからはどのスペースを選べるかという勝負。あいたのでいい競馬ができた」。鞍上の的確な判断と、それに応えた相棒がつかんだ会心の勝利だった。
苦難を乗り越えての栄冠だ。前走の天皇賞・春は発馬直後に落馬。カラ馬のまま走り続けて2番手入線し、その後に外ラチを跳んで転倒した。アルゼンチン共和国杯で復帰予定だったが、除外の憂き目に。池江師は「放牧先でよく立て直してくれた。使っていた時と遜色ない状態に戻っていたから」と社台ファームのチーム力に感謝した。
指揮官はこの勝利でJRA通算800勝。自身の手掛けたオルフェーヴル産駒での重賞初V&節目達成に、「皆さまに感謝。本当にみんな“ブラボー!”です」と流行に乗っておどけてみせた。今後は未定だが、レース後に更新された社台サラブレッドクラブのホームページでは、状態次第で有馬記念(25日・中山)も選択肢に入っているという。念願のタイトル奪取でつかんだ自信を胸に、さらなる飛躍を目指す。