「サウジＣデー諸競走」（２５日、キングアブドゥルアジーズ）

　万感の思いとともに、新たな戦いに挑む。自身初のサウジ遠征に臨む川田将雅騎手（３７）＝栗東・フリー。憧れのランフランコ・デットーリ騎手（５２）ら世界の名手と腕を競う「インターナショナルジョッキーチャレンジ」や、尊敬し、２月末でジョッキーを引退する福永祐一騎手（４６）＝栗東・フリー＝との最後の対決を前に、胸の内を明かした。

　昨年、デビュー１９年目で初めてリーディングに輝き、史上４人目の騎手大賞を獲得した川田。功績が認められ、２４日にサウジアラビアで開催される国際騎手招待競走『インターナショナルジョッキーチャレンジ』に選出された。

　昨年も招待されたのだが、コロナの影響による帰国後の隔離期間の問題から断念した経緯がある。川田は「何よりフランキー（デットーリ）とシリーズもので一緒に乗れるというのが光栄ですね」とうなずく。

　テレビ番組『世界の競馬』に胸を躍らせた幼少期。今年限りの引退を発表した世界の至宝に「私のヒーローです」と憧れ続け、「フランキーの最後の年に日本の代表としてその場に参加して乗れるわけですからね。とてもありがたい。全世界のジョッキーにとって、とてつもなく大きい存在です」と目を輝かせる。

　そしてもう１人、川田の心を動かした男がいる。兄のように慕う福永だ。背中を追い続けた先輩が、海外で引退の日を迎える。「それもあって、サウジに行く選択をしました。祐一さんがジョッキーとして最後の日に、一緒にサウジで世界を舞台に戦えることはありがたい時間です。いまだかつていないですから。海外でキャリアを終える日本人ジョッキーは」と語った。

　招待競走以外にも、２５日のサウジＣデー諸競走では日本馬２頭に騎乗する。フロムダスクとコンビを組むサウジダービーは、ライバルとして福永との競演がかなう。「ファンの前で最後を迎えられないさみしさもありますが、最後まで世界の舞台で戦い続けた姿を皆さんに見ていただけるというのも、素晴らしい最後だと思います」。日の丸を背負い、さまざまな思いを胸に世界へと挑む。