【中山記念】ヒシイグアス8カ月ぶり復活V 直線で先行馬ゴボウ抜き いざG1へ
「中山記念・G2」(26日、中山)
長期休養明けも何のその、5番人気で一昨年の覇者ヒシイグアスが快勝。直線の急坂を力強く駆け上がり、重賞3勝目をマークした。鞍上の松山は今年の重賞初勝利。2着は外から伸びた8番人気のラーグルフ、3着には逃げた7番人気のドーブネが粘り込んだ。1番人気のソーヴァリアントは見せ場なく9着に敗れた。
強烈な北風を切り裂いて、一昨年の覇者ヒシイグアスが復活ののろしを上げた。
最も実績を残す舞台とあって、スパートのタイミングは分かっている。序盤は中団の馬込みで我慢させると、3角過ぎから徐々に上昇を開始。直線で一瞬、スタニングローズと接触するシーンはあったが、うまくクリアして外へ持ち出すと、鞍上の右ステッキに応えて先行馬をゴボウ抜きにした。
5着に終わった21年秋の天皇賞以来の騎乗となった松山が振り返る。「きょうは風が強かったので、馬群の中で競馬がしたかった。とにかくリズム重視。この馬の競馬をしようと思ってました」。これでコンビ実績5戦4勝。表情に自信の色がうかがえた。
8カ月ぶりの一戦に、鞍上は「うまく厩舎が仕上げてくれました」と感謝する。それもそのはず、前走の宝塚記念2着後に重度の熱中症を患い、入院も経験するなど生死の境をさまよった。馬主の阿部雅英氏は「調教師からはそこまで聞いていなかった。私に心配をかけないようにしてくれたのでしょう。無事にレースができて、復活してくれて良かった」と目を細める。
なかなか順調に使い込めない中で、手にした重賞タイトルは3つ。松山は「まだまだやれる馬。次もやってくれると思います」と、いつしか7歳の春を迎えた相棒にエールを送る。今後について具体的なレース名は示さなかったものの、「状態が良ければ春はG1へ行きたい」とオーナー。伝統のG2を制して勢い十分。高々と帆を掲げ、さらなる上の舞台へと突き進むのみだ。