【弥生賞】タスティエーラ父子制覇 中2週で皐月切符獲得 松山&堀師2週連続中山G2戴冠
「弥生賞ディープインパクト記念・G2」(5日、中山)
新たなクラシック候補の誕生だ。3番人気のタスティエーラが、好位から鮮やかに抜け出して重賞初制覇。鞍上の松山と堀厩舎はヒシイグアスで制した中山記念に続いて2週連続重賞V。15年覇者の新種牡馬サトノクラウンとの父子制覇も達成し、父に産駒初のタイトルを届けた。2着の1番人気トップナイフ、3着の2番人気ワンダイレクトを含めた上位3頭が皐月賞(4月16日・中山)の優先出走権を獲得した。
共同通信杯4着から中2週、権利奪取へ全力参戦の3番人気タスティエーラが、長くいい脚を使ってクラシックロードの扉をこじあけた。道中は3番手で進めると、3角過ぎから仕掛けて4角では2番手まで浮上。直線に入ると先に抜け出して重賞初制覇を飾った。
好騎乗の松山は先週の中山記念(ヒシイグアス)に続く堀厩舎とのタッグで重賞V。今回はテン乗りだったが、準備に抜かりはなかった。「レースを見させていただいて、勝負どころにズブさを見せるところがあると。だから自分から動いて勝ちにいく競馬をしました」。持ち味を最大限引き出し、最高の結果へと導いた。
15年覇者サトノクラウンとの父子制覇を飾るとともに、父の産駒初の重賞V。皐月賞の優先出走権も手にしたが、馬主の(有)キャロットファーム・秋田博章代表は「最終目標はダービー(5月28日・東京)で、皐月賞は状態次第。調教師は短期放牧したいとのことなので、そこでどうか。流動的です」と見通しを明かす。競馬の祭典を見据える意味でも、勝ち切って賞金加算に成功したのは大きい。
鞍上にも価値ある勝利だ。2月末で師匠・池添兼元調教師が定年で引退。早期に所属厩舎を卒業し、フリーに転じたものの、追い切りの合間には“自厩舎”の休憩所で過ごすのが日課だった。デアリングタクトの牝馬3冠を含め、JRA・G1・5勝。既にトップジョッキーの一人に名を連ねているが、真の一本立ちとなる最初の週で存在感を見せつけた。
「素晴らしい馬を任せていただいて感謝しています。次もしっかり走ってくれる馬だと思います」と松山も期待大だ。17年にアルアインで制した皐月賞か、ダービーか-。春の夢は、この一頭とともに膨らんでいく。