【ボート】89期の養成所チャンプ・吉本玲緒が引退 大勢の仲間と家族に見守られたボートレーサー最後の日

「瀬戸内オーシャンズX第31回日本財団会長杯」(25日、宮島)

 25日に最終日を迎えた宮島ボートで、吉本玲緒(45)=広島・89期・B2=が大勢の仲間に見守られてラストラン。23年間の選手生活に幕を下ろした。引退表明をして臨んだ今節。4日目は2艇フライングの波乱の中で1着。最終日はインから6着だったが、最後まで穏やかに日々を過ごし、自分らしさを貫いた。

 89期の養成所チャンプとして華々しくデビューしたのは2001年11月。広島支部に吉本以来となる養成所チャンプ・134期の小林甘寧(20)が誕生した2024年、吉本は現役生活に別れを告げた。優勝は09年7月大村と11年8月宮島の2回。「鳴かず飛ばずのボート人生。減量は苦しかったが、楽しかったかな~。自分で決めたことだし、悔いはない」と晴れやかな表情で振り返った。

 現役最後のシリーズは89期の原豊土、江夏満、君島秀三らが駆け付けレースを観戦。優勝戦後は広島支部の先輩、後輩も大勢花束を持って訪れ、ピット内は大渋滞。その姿を見た吉本は初めて目を潤ませた。江夏は「89期の隊長、永遠のリーダーです。人望がなければこれだけの人間は集まらない」と同期を代表してコメント。同期と選手仲間によって水神祭が行われ、母、弟、息子、娘ら家族の目にその勇姿を焼き付けた。圧倒的な人間力で皆を感動の渦に巻き込み、胸を熱くさせた吉本玲緒。ボートレーサーを卒業して歩む第二の人生も、人の輪に包まれ輝き続けることだろう。

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