【ボート】関浩哉&太田海也 頂点目指す ボートレーサー×トラックレーサー“ヤング”対談

 「グランプリ・SG」(17日開幕、住之江)

 ヤングレーサー異業種対談が実現-。12月は公営競技のビッグレースが目白押し。中でも注目は17~22日に住之江ボートで実施される「SG・グランプリ」。ボートレース最高峰のシリーズに初出場の関浩哉(30)=群馬・115期・A1=が、競輪選手でトラックレーサーとして今年のパリ五輪に出場した太田海也(25)=岡山・121期・S1=と対談。初対面ながらもすぐに打ち解けた2人はともに「ヤング」タイトルホルダー。関は年末の大一番へ向けて、太田は競技者としての熱い思いを語った。本音全開のクロストークに大注目だ。

  ◇  ◇

 -まずは2024年の戦いぶりから。

 関「浮き沈みはありましたが、G1を2つ優勝(ボートレースバトルチャンピオントーナメント、ヤングダービー)できましたし、この時期にこの位置(グランプリ出場の18人)にいられるというのはいいと思います」

 太田「僕は8月にパリオリンピックに出場しましたが、メダルに手が届かず、悔しかったし、気持ちが折れました。でも、10月の世界選手権ではオリンピックの気持ちをぶつけることができて、スプリントで銅メダルを獲れました」

 -選手になったきっかけは?

 関「僕はおじいちゃんですね。ボートレースや競馬が好きな祖父から『どうだ。ジョッキーもどうだ』ってよく勧められました」

 太田「僕は高校のときにボート競技をしていました。この競技に出会って体を使うことを職業にしたいと思いました。その後、ボート競技を辞めて、地元に戻ってからは自転車ショップで働いたときに競輪選手という職業を知りました。趣味として(出勤前の)朝5時から2、3時間、(終業後の)夜8時からも自転車に乗っていました。養成所に入る前からいい数値が出たと思います」

 関「趣味の延長で仕事になったみたいですね。うらやましいです」

 -関さんは趣味でサイクリングしているとか。

 関「世界で活躍している選手を前におこがましいですが…。自転車は楽しいなって思います」

 太田「そう言ってくださってうれしいです」

 関「山が好きで、頂上を目指して淡々と踏んでいくのが自分の性格に合っているんですよ」

 太田「僕ら競輪選手は(自転車で山を登ると)普通のおじさんにも負けますよ。体重があるので遅いんですよ」

 関「じゃあ勝てるかもしれませんね」

 太田「全然勝てますよ。岡山の山で50歳くらいのおじさんに勝てず悔しがっています」

 関「あとはマラソンも好きです。1人でやれますし、自分と向き合えますから。そういうのが合っているのでしょう」

 太田「僕は最近、車を買ったことで、車が好きになりましたね。もちろん職業になりましたが、自転車も好きです」

 -ボート、競輪の違いってどのように感じる?

 関「ボートレースは1日2走。これが基本で競輪とは違いますよね」

 太田「そうですね。競輪は1日1走。でも、五輪などでは1日に多くて8走することも…」

 関「マジっすか…」

 太田「1走ずつ全力でやって、限界が自分でもどこにあるかが分からなくなってきます。でも『まだ動けるは。次に行こう』って感じですね」

 関「自転車競技は体力を出し切る感じですね。ボートレースは集中力。スタートにどれだけ集中力を込められるかです」

 太田「ボートレースを見て思ったのは、どんなトレーニングをしているのかが気になりますね」

 関「選手によって違いますけど、体幹トレーニングをやったりとかですね。あとは、プロペラのゲージを作ったりとか準備が多いですね」

 太田「次のレースに向けての準備ですね」

 関「ウエートトレーニングをする選手もいますけど、筋力が付き過ぎると体重が増えるので、体幹トレーニングが多いみたいです」

 太田「あと、スタートが難しそうですね」

 関「リスクとリターンを考えますよね。リスク(フライング休みや、SGやG1の罰則など)があるし、リターン(1着や優勝で賞金を稼げる)もあるぞ…っていうせめぎ合いなんです。自分がどこまで攻められるか、毎回そのチャレンジですね」

 -SGの優勝戦となればその緊張感はすごい?

 関「今まで2回経験しましたが、やっぱり緊張しますね。スタートは絶対に入っているって感じで行かないと、もしフライングを切ったらの「もし」が起こったら、自分の責任だけでは済まないですからね」

 太田「競輪でG1の決勝戦は、選手入場のところから普段と違うんですよ。花火が上がったり、スポットライトが動いたりとか。主役になったぞって感じで、緊張よりは盛り上がりを感じます」

 関「SG優勝戦でそういう演出があったら、気持ちに戸惑いが出そうで「いつも通りにやらせてくれ」って思いますね。太田さんは『ヨッシャー』ってなるんですね」

 太田「そうですね」

 関「僕はSGでも普段通りにやりたいです」

 太田「ボートレースはスタートまでの感じがいつも一緒なのですね。競輪はスタートからいつも違うので、その差かもしれませんね」

 -最後に年末の大一番へ向けての気持ちを。

 関「昨年はグランプリシリーズ優勝戦の1号艇であり得ないヘマをしてしまいました(インからSでコンマ43と立ち遅れて4着)。お客さんに申し訳なくて、上を向いて歩けませんでした。だからグランプリはいろいろ思うところのある大会なんです。今年はグランプリに出ます。出るだけじゃダメなので、賞金王を獲るんだという気持ちで乗り込みます」

 太田「僕は年末のヤンググランプリ(12月28日・静岡)に出場します。昨年(立川)は優勝ができました。2回獲った人はいないので、競輪界に名前を残すチャンスと思って走ります。しっかり仕上げますので、応援をよろしくお願いします」

 関「僕はグランプリ初出場ですが、最終日最終レースの優勝戦に乗れるように精いっぱい頑張りますので、応援をよろしくお願いします」

 ◇関浩哉(せき・ひろや)1994年11月16日生まれ。30歳。群馬県富岡市出身。身長158センチ、体重50キロ。吉井高卒。ボートレーサーを養成するやまと学校を115期生として卒業。2014年11月に桐生一般戦でデビュー。初優勝は18年9月のプレミアムG1・ヤングダービー(浜名湖)。今年のヤングダービー(桐生)も制している。G1優勝は通算4回。通算獲得賞金額は3億7687万760円(7日現在)。

 ◇太田海也(おおた・かいや)1999年7月27日生まれ、25歳。岡山市出身。備前緑陽高卒、日大中退。174センチ、78キロ。2021年に日本競輪養成所に121期生として入学し、成績優秀者で早期卒業。22年1月に小倉でデビュー。主なタイトルはG2・ヤンググランプリ(23年・立川)。トラックレーサーとして、今年8月のパリ五輪にケイリン、スプリント、チームスプリントに出場。10月の世界選手権(デンマーク)はスプリントで3位。同種目では日本勢35年ぶりのメダルを獲得した。通算獲得賞金額は5148万2000円(7日現在)。

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