【競輪】競輪界の“神様”神山雄一郎が現役引退を発表 「吉岡君に認められたくて頑張ってきた」とライバルに感謝
G1・16回の優勝を誇るレジェンドで21~23日の取手F1に出場していた神山雄一郎(56)=栃木・61期・S2=が24日、都内のJKAで引退会見を行った。会見では過去に対戦した選手に関する質問をされると、抑えていた感情が爆発。大粒の涙を流した。
競輪が大好きだったレジェンド・神山が引退会見に臨んだ。来年1月からは35年ぶりのA級降級が決まっていたが、S級のままバンクを去ることとなった。
引退の引き金になったのは6月函館G3の失格。「引退をいつ決めたかは定かではないが、函館の失格は考えるところでした。競輪が好きなのでできることなら一生やり続けたい。でも一生やれないし、いつかは引退しないといけないので。引退の相談は誰にもしていない。相談をすると確実に引退に連れていかれるから。自分の中で引退を決めたのはつい最近」とここに至るまでの経緯を話した。
36年間の選手生活で数多くの選手と対戦してきた。強かった選手、速かった選手を問われると、抑えていた感情が爆発して涙があふれた。「数え切れないほど素晴らしい選手がいっぱいいる。強い、弱いは関係ない。ただ自分の中では同世代だった吉岡稔真選手を勝手にライバル視して、常に練習をしていた。吉岡君に認められたくて頑張ってきたつもり」と、若い時にG1でしのぎを削った好敵手の存在が神山を強くしたことは間違いない。
今後の進路は今のところ何も決まっていない。「家族と時間を過ごしながら、少しゆっくりしたい。キャリアを積んできたことが後輩のためになるなら、そういうことがしたいけど今はひと休み。タイミングが来れば報告させてもらいます」。競輪界のさらなる発展に不可欠な存在。引退しても神山の動向に注目が集まりそうだ。
その他、一問一答-印象に残るレース。
「初めて特別競輪を優勝した地元の宇都宮オールスターは心に残っている。きのう(23日)の取手のレースも心に残るレースだった」
-グランプリは16回出場して4年連続で準優勝などがあった。
「ここまでの成績を残したらグランプリは勝ちたかったなという思いは強い。12月30日にレースがあるので、いい正月を迎えたことはなかった。今だから笑い話ですけどね」
-神山さんにとって競輪とは。
「当たり前でよく聞く言葉ですが人生そのもの。競輪が大好きだった。競輪で力を出し尽くして、残っているのは自分の力で棺おけにたどり着けるくらいになるまで走ろうと思っていた」