【ボート】ソフト日本一西舘果里が転身

 ボートレースの113期生28人がこのほど、ボートレーサー養成所のやまと学校(福岡県柳川市、植木通彦校長)を卒業。11月から全国各地でプロデビューを果たす。その中には五輪競技から転身した選手も名を連ねる。ソフトボールで日本一を経験した西舘果里(26)=神奈川=とスピードスケート、自転車で全国トップクラスの実績を持つ小城千奈(20)=福岡。今回のボート屋では“水上の金メダル”を目指す女子レーサー2人にスポットを当てた。

 ソフトボールで世界を目指した西舘が「第2の人生」として選んだのがボートレーサーだ。北京五輪で日本を金メダルに導いた宇津木妙子監督、エースの上野由岐子投手らが所属していたルネサスエレクトロニクス高崎で強打の外野手として活躍していたが、12年ロンドン五輪でソフトボールが五輪種目から除外…。目標を失いかけた時に出合ったのがボートレースだった。

 「前の会社でボートレースの話を聞いて興味を持った。実際に見るとスピード感と迫力がすごい。あとはターン時の駆け引きがソフトボールの投手と打者の心理作戦と似ていると思った」と、すぐにボートの魅力にハマり、106期から新設されたスポーツ推薦枠で、やまと学校に入学した。

 9月の卒業記念レースでは転覆失格に終わった西舘。優勝戦後に訓練生が歓喜の涙を流している時には、仲間の輪から離れて水に漬かったエンジンを整備していた。「この悔しさはデビューしてからぶつけたい」。デビュー戦となる11月8日からの平和島ではド派手な“ホームラン”をぶちかますつもりだ。

 一方の小城も幼少期から五輪出場が目標だった。中学時代にはスピードスケートのショートトラック500メートルでアジア大会(ジュニア)5位。スケートで鍛えた脚力を生かして高校時代に挑戦した自転車ではスプリントなどで全国2位の輝かしい実績。それでも五輪の夢を捨てて、ボートレーサーを目指した理由は男子と対等に戦えるところだ。「ガールズケイリンも考えましたが、体が小さいので自転車ではどうやっても男子に勝てない。でもボートレースなら体の小ささが武器になると思った」と大きな瞳を輝かせる。

 憧れの選手は女子の第一人者として活躍する平山智加(香川)。「男子相手にG1レースを勝った平山選手みたいになりたい」。身長150センチは113期生の中では最も小柄。それでも将来の夢は同期の誰よりも大きい。

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