【ボート】海野、男子撃破で下克上じゃ
「宮島チャンピオンカップ・G1」(9日開幕、宮島)
「G1宮島チャンピオンカップ 開設59周年記念」は年末の大一番の切符を懸けたSG・チャレンジカップ(19~24日・津)前に行われる最後のG1。その舞台は世界遺産が目の前にある絶好のロケーションの宮島ボート。9日から14日まで、選手たちは白熱した戦いを繰り広げそうだ。昨年の覇者である松井繁(43)らが中心だが、地元勢も意地を見せたい。中でも女子の海野ゆかり(39)が地元戦に燃えている。他にも当地の新エンジンを経験している浜野谷憲吾(39)が、虎視眈々(たんたん)とV獲りをもくろんでいる。
ボートレース宮島がある広島県の今年のテーマは“下克上”。市民球団である広島カープは16年ぶりにシーズン3位に躍進。クライマックスシリーズのファーストステージでは、2位・阪神タイガースを破る下克上を成就。もちろんボート界でも狙うは“下克上”だ。最近の広島勢はSG優出がなく低迷が続いているが、今年こそはやってくれそうな予感がする。
市川、辻とSGタイトルホルダーもいるが、注目は女子レーサーの海野。タカラジェンヌばりの美しいルックスとは裏腹に、レーススタイルは度胸満点。特にまくり差しの鋭さは、男子をもしのぐスピードがある。地元周年は52周年(06年)以来2回目。待ちに待った舞台で、もちろん栄冠を狙っている。
海野には広島カープ同様に、勢いがある。“宮島のオール女子戦で勝てない”という呪縛があったが、今年7月のプリンセスカップで、インからきっちり逃げて待望の優勝を飾った。「これまで優勝戦で転覆したり、Fを切ったりして迷惑を掛けていたので、やっと地元ファンの期待に応えられて良かった」とホッとした表情。これで完全に“負けの歴史(前田健太投手の言葉を引用)”に終止符を打った。
そして10月の東洋観光グループ杯では、記念級の男子を相手にしっかり優出。「この節から温水パイプが付いたので、序盤は調整に苦しみました。ただ準優までに今までやってなかったペラの部分を調整したら、いつもの宮島のような行き足、回り足が付いた。調整方向は見えましたよ」と本番に向けて対策はバッチリの様子。
もちろん宮島で“はやり”のペラの格好も把握している。「この新エンジン1発目で、古場輝義さんが叩いたペラの形ですよね。私もあのタイプ(先端が垂れて広がっている)のペラの形は好き。ゲージもあるので、対応はできると思う」と自信を持っている。
女子選手はまだ男子選手の技術に追いついていないと言われ続けているが、1月の尼崎周年で平山智加が男女混合G1制覇。G1女子王座を制したことがある海野も、もちろん栄冠を手にするだけの実力は備えている。「超一流はエンジンの出し方が違うけど、私は今年宮島を5節走ってますからね。新エンジンも、温水パイプが付いた状態のエンジンを経験できたのは強みです」と気合十分。男女混合G1初制覇へ、“芸州のプリンセス”が初日から激走を演じる。