【ボート】70歳万谷ラストランで1着
ボートレース界では現役2番目の高齢となる岡山の70歳の大ベテランレーサー・万谷章が30日、児島ボート3Rを最後に引退した。現役最後となったレースは1号艇で“圧倒的な支持”を集め、コンマ13の好Sから、力強く逃げ切って、通算2857勝。実に50年7カ月の選手生活にピリオドを打った。2着に片山晃、3着に田中辰彦が続き2連単、3連単ともに1番人気で決着した。
最後のレースを勝ち星で締めくくった万谷は「一緒に走る若い子には言っておいた。わしは最後まで勝つために一生懸命走る。だが、最後だからといって気を遣うな。Sを決めたら遠慮せずまくってこいと。ケガをせずに1着で終われて良かったな」と涙はなく、最後まで勝負師の顔でレースを振り返った。
レース後は家族と選手仲間に拍手で迎えられて万感の表情。「最後に片山さんとのワンツーを見られて感動した」と、孫たちから大歓声が上がった。感動の余韻が残る4Rの発売中、勝利の白カポック姿で救助艇に乗り場内のファンへあいさつ。早朝から詰めかけた大勢のファンが、万谷との別れを惜しんだ。
小畑実成支部長は、「まだまだ走れる力を残し、皆に慕われ続けて引退する。選手として最高の終わり方だと思う。これからはリラックスして過ごして下さい」とねぎらった。公私ともに親交の深い片山晃は「自分の方が緊張した。万谷さんの強さには勝てない」と涙を浮かべていた。70歳で選手生活を終えた万谷は「家族と選手仲間の支え、ファンの応援がなければここまで続けることはできなかった。通算優勝は99回であと一つと思ってきたが、悔いはない。これまで本当にありがとうございました」と穏やかな表情で半世紀にわたる現役生活に幕を下ろした。
万谷は、06年4月の尼崎・名人戦で、62歳5カ月でG1初優勝。現在も、これが最年長G1優勝記録となっている。