【競輪】村上義弘選手の笑顔が見たい!

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 村上義弘(39)=京都・73期=と初めて出会ったのは千葉競輪場だった。S級入りして間もないころに、山本真矢(引退)から「京都に強い選手が出たからよろしくお願いします」と紹介されたのだ。20年以上前の話である。

 今年の千葉記念で、わたしから村上選手に「初対面を覚えてます?」と切り出したら、にっこり笑って「覚えてます」と答えてくれた。その記憶力の良さに感動し、また、これ以上ないうれしさがこみ上げた。

 デビューから、徹底先行を身上に名を高めた。決して恵まれた体型ではないが、強い精神力と気力は人一倍あった。練習の鬼となり自ら肉体改造を強化し、先行にこだわりトップレーサーへはい上がった。

 真面目な性格で誰よりも研究熱心。激しい気性と熱い情熱がファンに伝わり絶大な支持を受けている。そして、京都支部を“最強”に築きあげた。

 もちろん、村上の歴史を辿れば、八倉伊佐夫(54)=京都・42期、松本整(引退)、内林久徳(引退)、山本真矢など、京滋の先輩の存在があったことは見逃せない。

 競輪選手のレベルの高さを思い知らされた村上は、また、怪我にも悩まされた。G1初タイトルは2002年の全日本選抜(岸和田)。翌年にはオールスター(一宮)で優勝するなど、順調に突き進んだ・だが、2004年には全日本選抜(大垣)での落車などもあり、満足な走りができなくなり、その後は極端なスランプに陥ってしまった。

 一方、そのころから松本整の下で指導を受けるようになり、肉体改造とフォームの修正に取り組むようになった。また、自転車のセッティングにも、一層のこだわりをみせ、復活への手がかりをつかんだ。

 周囲に厳しいが、もちろん自分にも厳しい。松本から得た“努力に優る才能はない!!”を教訓に、長いものに巻かれることなく、孤独に耐える村上にしかわからない苦悩があっただろう。そのレースぶりは、よく“魂の走り”と言われるが、わたしはそこに、競輪に心を入れる武士道を感じてしまう。

 今の村上は背負うことが多いのか。背負いきれずに苦しんでいるのであろうか!?表情が時折こわばっている。きっと自分が与えられた指命を忠実に守るばかりでハートに疲労が出てきたのかと心配することがある。

 千葉競輪場でみた、村上の笑顔は少年のようだった。喜怒哀楽は皆があるのだから喜びがあったときは最高の笑顔で振る舞ってほしい。自分を追い詰めながら成長してきた村上は、今後も前を向いて突き進むことだろうが、少しは肩の力を抜いて下さい!!(関東競輪担当・吉野みどり)

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