【ボート】SG覇者が見せたピットでの姿

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 1月に行われたデイリースポーツ杯争奪男女W優勝戦に、峰竜太(32)=佐賀・95期・A1=が出場した。SG覇者の実力を見せつけて優勝したが、それは珍しい話でも何でもない。SG級が一般戦にきた時の、ピットでの過ごし方。その面で、とても興味深い動きをしていた。

 2日目9R。峰は1周2M追い抜き不良で減点7となった。被害を受けたのは、地元の下寺秀和(25)=広島・112期・B1。普通は加害者が謝って終わりとなるものだが、この時は明らかに様子が違った。下寺がレースを振り返りながら峰に質問をぶつけ、峰が「そうそう」と答えている。事故の対象者同士が会話する雰囲気とは、全く違った。

 それだけでは終わらない。3日目の12R終了後には、陸揚げされたボートを使って峰が下寺に実演講習。この節でピット離れに悩んでいた下寺に、技術的な課題を見つけた峰が自ら手本を示し、熱心に教え込んだ。さらに後で下寺に聞くと、ペラ調整の助言までもらっていたそうだ。

 支部の違いも関係なく、若手に手を差しのべる峰。下寺と事前に面識があったわけでもないようだ。その思いは「最近の若い子で、僕みたいになりたいと言ってくれる選手がいる。それがうれしくて。そう言ってくれる子にはうまくなってもらいたい」。つまり、自分に憧れてくれたことへの感謝。実際に指導している様子も、非常に親身。上から教えてやっている、という風には全く見えない。

 昨年のオーシャンC(まるがめ)で悲願のSG初制覇を果たしたが「自分が勝つより、教えた子がうまくなる方がうれしい」とまで言う。そんな峰の夢は指導した若手と、記念戦線で戦うこと。「そうなったら本当にうれしいですよね。お父さんみたいな気分になっちゃう」。その形で“恩返し”ができる選手が下寺であってほしいと、宮島担当としては強く思う。(宮島ボート担当・浅野将之)

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