【地方競馬】地方競馬は元気だが…
「地方競馬記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
地方競馬の元気がいい。毎週の重賞開催のたびに主催者からは「売り上げレコード」のリリースが発信され、4月に発表された2017年度の総売上額は6年連続の前年度比プラス。16年度に比べて13・5%増の約5525億4千万円で、00年度以来17年ぶりに年間5500億円を突破した。
振り返れば、1991年の約9862億円をピークに、11年にはドン底の約3314億円まで減少。今世紀に入って9つの施行者が撤退する暗黒時代を経ての急上昇は、インターネット投票システムの普及とナイター開催の増加のたまものといえる。
特に12年10月から実施されたJRAネット会員を対象にした地方競馬の馬券発売の効果は大きく、その他の在宅投票システムを含めると、17年は総売上の実に67・35%をネット販売が占めたという。
ただ、ファンの懐の中にある「埋蔵金」には限度がある。ネット投票ばかりに頼っていれば、いずれ頭打ちになるだろう。
そこで今一度立ち返るべきなのが、レース番組の充実に力を入れること。特に、普段はJRAの馬券を買っている層にアピールするためには、交流のダートグレード競走をいかに興味深いものにするかが大命題となる。
昨年はジャパンダートダービーをヒガシウィルウィン、JBCレディスクラシックをララベルが勝って、南関東生え抜きから殊勲馬が出た。だが、今年に入ってからの南関東での7戦すべてJRA所属馬が優勝。G1級(Jpn1)の川崎記念、かしわ記念は共にJRA勢の掲示板独占だった。
統括団体のNAR(地方競馬全国協会)は「地方生え抜きの強い馬の輩出」を目指し、今年度からG1級全レースの地方馬最先着馬に200万円、その他のグレードレースでJRA所属馬を1頭でも抜いての地方馬最先着馬に100万円の褒賞金を馬主に支給することにした。
しかし現状は、南関東の上位クラスはJRAの強豪馬との対戦を避けて、地方馬だけの重賞を目指す傾向が強い。G1級の最高峰レースには「自己条件だと除外になる可能性があるから」「馬主さんが使ってくれと言うから」と、JRAでいえばせいぜい1000万円下クラスのB級馬が頭数合わせで出走するケースが頻発している。
そんなこんなで、今週はJRA勢不在で、南関東の一線級が顔をそろえる「第63回デイリー盃 大井記念」。予想者としては、JRA馬の順位付けだけに専念?していればいい交流重賞に比べて難解な、そして腕の見せどころとなる。社杯をズバリ的中させて「当たらない本紙予想」なんて陰口を完封してやるつもりだ。(南関東公営競馬担当・関口秀之)