【ボート】安井瑞紀の笑顔を見ながらヒザが笑っていた

デビュー初1着に喜ぶ安井瑞紀
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 「ボートレース記者コラム・仕事 賭け事 独り言」

 今年も半年が過ぎ、夏本番を迎えた。3年ほど前からヒザ痛という爆弾を抱えている私にとって、冬場よりは楽な季節ではあるが、サポーターは常に巻いている。

 若かりしころは野球なりラグビーなりでいつも走り回っていたが、今ではそれは危険な行為。それでも走らざるを得ない事態が訪れた。5月29日の話だ。

 この日、多摩川ボート2日目9Rで安井瑞紀(25)=岡山・120期・B1=が4カドからまくりを決めて、昨年5月の児島デビュー以来131走目で初勝利を挙げて、水神祭を祝福された。

 昨年9月の同場で、岩崎芳美が通算1000勝を達成して水神祭。このときはピット内の管理棟そばで行われたので、今回もそうだろうと思っていたら、ファンが見守る水面で行うとアナウンスが流れた。

 安井といえば、立命館大女子陸上部では主将を務め、同大初のインカレ総合Vに導いたことがある異色レーサー。やはり写真は押さえておかないといけない。

 ヒザは心配だった。それでも、昔培った基礎体力を信じた。ピットを抜け出すと、ファンをよけながら2M辺りからゴールに向かって、まったく華麗ではない走りで、にこやかにほほ笑む安井を乗せたレスキュー艇を追いかけた。

 何とか間に合った。しかし、ヒザは震えるし、息も上がっているから、カメラのピントはなかなか合わない。吹き出る汗もそのままに、とにかくシャッターを切った。

 びしょぬれになった安井が、レスキュー艇に引き上げられてピットに戻ろうとする。今度はコメントを取らないといけないから、ゴールから2M、そしてピットへと、また走るはめに。レスキュー艇って意外と速いんだよなあ。くたくただ。

 安井は、「やっとできてホッとしている。これからは与えられた仕事をしっかりやって、早くA級に上がりたい」と笑みが絶えなかった。その笑顔には癒やされたが、こちらのヒザは笑ったままだった。

 夏本番。ヒザ痛という爆弾を抱えながらも、ボートが水しぶきを上げる水面を見ながら、59回目の夏を楽しもうと思う。(関東ボートレース担当・高橋真澄)

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