【ボート】デビュー1年10カ月で初優勝…井上忠政の今後が楽しみ
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最近、ボートレース戸田でデビュー初優勝を飾る選手が目立つ。今年だけでも3月に井手良太(30)=大阪・109期・B1、藤山雅弘(29)=大阪・105期・A1、7月に宮本夏樹(31)=長崎・102期・A2、8月2~6日の開催では井上忠政(22)=大阪・119期・B1=が初栄冠を手にした。
戸田では4日間、5日間の開催が多い。4日間の短期決戦は機力の裏付けと勢いがあれば頂点にたどりつくことが可能だ。5日間開催では準優は2レースで、3着までに入れば優勝戦に進めるので、準優3レース制よりもチャンスが広がる。インが絶対ではなく、外でも十分に勝負になる。これがデビュー初優勝のケースが多い要因に挙げられる。
今月6日に優勝したばかりの井上の快進撃は特に印象に残っている。前検から伸びが際立っており、初日、2日目を1、2、2着と快調に飛ばす。予選ラストの3日目前半は6着大敗で窮地に追い込まれたが、後半は4カドからまくり差しでの1着で予選クリア。優勝戦は3コースから外マイ、2M全速と豪快なレースでG1タイトルホルダーの柳沢一、中沢和志、重成一人といった強豪を撃破し、デビューからわずか1年10カ月目での初優勝となった。
井上は119期の勝率1位と将来を嘱望される逸材だが、キャラクターも秀逸だ。戸田では大阪支部のデビュー初優勝が多く、前述の井手、藤山のほかに昨年7月に佐藤大騎(33)=108期・B1=も決めている。気の早い記者は2日目の段階で「大阪支部は戸田で初優勝を決めることが多い」と紹介した。すると井上は先輩たちの優勝戦での決まり手をスラスラと語ってからすぐに「まだ早いわ」と鋭いツッコミを入れられた。3日目前半で6着大敗にも動じず、「1等条件になったので逆に頑張れた」とピンチにも動じることはなかった。準優は3号艇だったが、7月21日の住之江で準優3号艇でFを切ったばかり。同じ3号艇だったが、失敗を糧にして、戸田では2着で優勝戦進出を果たしている。
当意即妙な受け答え、記者の“先走りの期待感”に応えるかのように、あっさり優勝を決めてしまうあたり、大物感が漂う。“持ってる”とはこのことを言うのかもしれない。
デビュー初優勝はスターへの道のりの第一歩だ。デビュー初優勝を見届けた一人として、今後の井上の活躍を期待してやまない。(関東ボート担当・渡辺和明)