【競輪】グレーツァーの精神的な強さにも驚嘆
「競輪記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
短期登録選手制度で来日する外国人選手には例年、度肝を抜かれる。今年も例に漏れず、圧巻の走りを目の当たりにした。とりわけ印象的だったのは自転車競技でもトップクラスに君臨するマシュー・グレーツァー(26)=オーストラリア=だ。
日本の競輪に初参戦ながら、計14場所に出走して優勝9回(7月の小松島F2・エボリューションを含む)、準優勝3回。圧倒的なスピードを発揮して1着を量産した。
中盤戦までは決勝で敗れるシーンもあったが、後半戦はパーフェクトの成績を収めた。8月の玉野F1初日から今年最後の出場となった9月の松山F1決勝まで15連勝。5場所連続完全Vを果たし、短期登録選手ではマシュー・クランプトン(イギリス)、マティエス・ブフリ(オランダ)の13連勝を更新してみせた。
現場で取材していて感嘆したことがあった。9月の立川F1準決勝。当日は台風接近により、雨、風ともに強く、厳しい条件だった。それでも、グレーツァーは最終ホームから果敢に先行。圧倒的なスピードを発揮して別線を一蹴した。検車場に引き揚げてくると「これまでの中で最もひどい天候だったけど、いいレースができてうれしい」と涼しい顔で振り返っていた。
今春の世界選手権(オランダ)スプリントで金メダル、1キロタイムトライアルで銀メダルを獲得した実績はだてではない。世界のトップライダーは、心身ともに相当にタフであることをあらためて実感した。
今年の日本の競輪参戦は先日の松山F1が最後となった。来年もできることなら、ダイナミックな走りを見てみたい。(関東競輪担当・堀江浩二)