【ボート】思いがたくさん詰まっている女子レーサーのヘルメット
「ボート記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
200人以上いる女子レーサーのうち、約半分(2回聞いた選手もいるが)を取材。毎日どんなヘルメットがあるのかピットで探っている日々を送ったおかげ?で、選手が水面に出てくると、名前が書いてあるプレートを見なくても、ヘルメットだけで選手が分かるようになった。
ヘルメットにもいろいろあり、デザインを凝っている人、何でもいい人。自分でデザインを考える人、業者に任せっきりの人、さらには自分でペイントする人とさまざまな選手がいた。その中で印象に残ったヘルメットをもう一度紹介したい。
昨年のG2・レディースチャレンジカップ(芦屋)を優勝したママさんレーサーの守屋美穂(30)=岡山・101期・A1=のヘルメット後部には、愛する我が子(男の子)の手形が描かれている。「レースの前に手形を見ると、余計頑張らなくてはと思います」。
コスプレ、アニメ好きの喜多須杏奈(28)=徳島・110期・B1=のヘルメットには、もちろん大好きなアニメキャラクターがデザインされているが、それとは別に、毎回ユリの花がデザインされている。「ゆりは、私がデビューして1年目の時に亡くなった妹の名前なんです。妹の思いを込めてヘルメットにユリの花を入れるようにしています。きっと天国で妹が自分を守ってくれているし、助けてくれていると思っている」と妹への思いが詰まったヘルメットが印象的だった。
豪快ターンで女子戦トップクラスの旋回力を持つ今井美亜(28)=福井・106期・A2=のヘルメットは、昨年1月に新調されたが、メインのデザインがなぜか、タバコになっていた。彼女はタバコを吸わないはずだし、まさか吸い始めた!?「みんなに『美亜ちゃんってタバコ吸ってた?しかもショートホープなんて意外』と聞かれるんですが違うんですよ。亡くなった父がショートホープが好きだったんです。ヘビースモーカーだったお父さんに、大好きだったたばこの煙が天国まで届くようにと思ってこの柄にしました」と天国で見守ってくれているお父さんへの思いを、しっかりとヘルメットに込めていた。
レースでは、命を落とすこともあるボートレース。そんな危険から守ってくれるのがヘルメットだ。それぞれの思いが詰まったヘルメットに注目しながらレースを楽しむのも悪くない。(関西ボート担当・安藤浩貴)