【競輪】新型コロナで苦戦の競輪界が新たな策で巻き返しを狙う
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無観客での開催を行っている公営競技の中で、競輪だけ開催中止が相次いでいる。感染拡大防止の観点から中止にすること自体は致し方ない部分はあるが、他の競技は開催されているだけに、競輪だけが取り残されている感は否めない。
売り上げの面でも、無観客開催になってからはネット投票が思うように伸びずに苦戦。それでも4月に行われた玉野のミッドナイトシリーズでは3日間で11億円を超える売り上げを記録するなど、開催を待ち望んでいるファンは少なくない。
6月からは選手の移動を最小限に抑えるため、可能な限りの「地区内あっせん」を行うことが発表された。G1・高松宮記念杯競輪(和歌山)はすでにあっせんされている選手で変更なく開催予定だが、北日本、関東、南関東で一つ、中部、近畿で一つ、中国、四国、九州で一つと全国地区を3分割する形になる。
6月6日から開催される久留米記念の出場予定選手を見てみると、地元地区の九州勢と近隣の中国、四国の選手のみで構成されている。F1、F2シリーズも同様のあっせんで、6月29日からの福井F1シリーズにS級S班の村上博幸(京都)が出場するなど、これまでとは全く違うメンバー構成となっている。
さらに7月から9月までに行われるG3、F1、F2シリーズでは7車立て9レース制での開催が検討されている。出場選手数を減らして密を避ける取り組みが行われる。
JRAでは既に土日での騎手移動の制限などが行われており、ボートでも一般戦では可能な限りの地区内あっせんでの開催が5月18日から始まる。他の公営競技に比べると競輪の対策は遅いと言わざるを得ないが、まずは開催を行うための策を講じた形だ。
ライン戦が主流の競輪において、同地区ばかりがそろうレースとなれば、並びも難解。勝負と割り切って同地区でも競るシーンがあっても不思議ではない。番組を作る方も頭を悩ませることになるだろうが、車券を買う側に取ってはレース展開はもちろん、どんなラインになるのかを見るだけでも楽しみはある。
近隣地区あっせんに7車立てなど以前と違うスタイルを打ち出して前に進もうとしている競輪界。開催を待ち望んでいるファンのためにも、6月以降はすでに発表されている通りの日程でレースが行われることを切に願う。(関西競輪担当・貞 友之)