【ボート】F休みと真剣に向き合っている今井美亜
「ボート記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
最近、女子戦のフライング(F)が目立つ。5月31日の戸田・オールレディース初日、7Rでは、出場した6艇全員がF。4日にからつで行われた、ほぼ女子戦では、2日目、2Rで、男子選手をのぞく女子5艇が、Fに散る大波乱が起きた。しかも5月30日から6月4日までの6日間で、女子20人がFを切ってしまい、この後のあっせんが心配される。
ボートレースでは、Fをすると厳しい罰則がある。F1回目は30日の休みとなる。2回目では90日、3回目では180日間あっせん停止になり、レースに出場することができなくなる。もちろんF休み期間中は収入は0。厳しい現実となっている。
そんな中、現在F2で90日間のF休み中なのが今井美亜(30)=福井・106期・A2=だ。19年のプレミアムG1・クイーンズクライマックス優勝者が、戦列から離脱中なのは、何とも寂しい話だ。2010年5月のデビューから11年が経過したが、これまでのF回数が22回。F2という立場になったのが6回ある。トータルでは約3年弱をフライングで休んでいる計算となる。「今回は期末の最後2節で、連続Fを切ってしまいました。1本目はA級勝負が懸かっていたし、2本目は足が良くなっていて…。リズムが良くないのが続いていたし、それが無理につながっていたのかも。自分でもいい加減学習しろよ!とは思っているんですが、これも私の個性でレーススタイル。施行者には本当に迷惑をかけているのは重々承知しています」と反省している。
それでも「今回のF2は、自分をリセットするものにしたい」と無駄な休みにはしない。「ここ1年は1回もリズム良く行けてなかった。今やれることをしっかりとやって、きちんとリセットできれば、自分の選手生活の中でのターニングポイントになると思っています。一からみたいな感じで、調子を戻すのではなく“前を越えたい”。これまでのF休みとは気持ちが全然違う」と前を向く。
「今までは自分の枠内でしかやっていなかったが、いろいろな人に話を聞いて吸収してきた。弟子(坂野さくら)もできたし、人に理解させるには、自分ももっと深く考えないといけないので勉強になります」と弟子の存在も大きい。「自分にしかできない面白いことをしたい。それがレースで出せるとこんな気持ちいいことはないんです。Fで批判もあると思うけど、これが個性なんで許してください。そして新しい“今井美亜”を楽しみにしていてください」と復帰を楽しみにしている。
フライングについてはいろいろ考え方があると思う。でも攻めた結果でもあり、一概に悪いとは言えないところもある。例えば競馬では大出遅れをして、全くレースに参加してくれなくてもレースは成立。もちろん返還なんかない。最初から最後まで諦めずに走る。それがボートレースの面白さだと思っている。(関西ボート担当・安藤浩貴)