【競輪】大ケガから復帰を果たした石井貴子の挑戦を見守りたい

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 5月の落車で長期欠場をしていた石井貴子(31)=千葉・106期・L1=が復活への歩みを始めた。

 石井は2014年5月、西武園競輪でデビュー。先輩を相手にいきなり3連勝の完全優勝を達成。同年9月に前橋で行われたガールズケイリンコレクションのファン投票で1位を獲得。

 その後も15年9月(松戸)でコレクション初優勝を達成すると、17年3月(高松)、18年5月(平塚)、20年8月(名古屋)とコレクションを4回制覇。19年7月にはガールズケイリンフェスティバル(別府)も優勝。ガールズグランプリは18年(静岡)、19年(立川)の2年連続準優勝と申し分ない実績を誇るガールズケイリンの中心選手だ。

 今年は昨年末のグランプリの疲れが残り、スタートダッシュに失敗したが、4月には3場所連続完全優勝を達成。5月のコレクション(京王閣)へ繰り上がり出場が決定し、流れが好転したと思われた。

 しかし、コレクションのレース中、打鐘過ぎの3角で落車。頭部打撲、右鎖骨、ろっ骨の骨折に肺気胸の大けがを負ってしまい、復帰まで3カ月も掛かってしまった。

 「5月のコレクションは補欠だったので、繰り上がり出場はビックリしたし、うれしかった。でもレースのことは覚えていないんです。記憶も敢闘門を出るところまでしかない。落車した後、搬送された医務室で反応したみたいだけど、無意識だったんでしょうね。1カ月以上入院しました。6月の中旬くらいから自転車に乗り始めたけど、復帰できるか手探りの状態でした」と振り返る。

 そんな石井に勇気を与えたのはファンの力だった。6月21日に「ガールズケイリンコレクション2021いわき平ステージ」の出場選手が発表され、石井はファン投票5位でガールズドリームレースに選出された。

 「今までのファン投票の結果とは違う気持ちでした。選んでもらえたことは光栄だったけど、期待に応える走りができるかどうか不安しかなかった」

 落車以前の練習とはほど遠い内容だったが、少しずつ自転車に乗ることで復帰へのゴーサインを自分自身で決断。ガールズドリームレースを復帰の舞台に決めて平競輪場へ向かった。

 ガールズドリームレースは最終4角から石井寛子(東京)をたたきに行ったが合わされて終了。7着に終わったが、無事に復帰戦を終えたことに意味があった。復帰2場所目の取手では積極的に自力を出して3、2着で予選突破。決勝は見せ場をつくることができず5着に終わったが、長い目で見ていきたいと思う。

 「まだまだ落車以前のようなレースができないけど。いまできることをやって、元気なところを見せていきたい。ゆっくりになると思うけど少しずつ戻していきたい」と今後の抱負を語った。

 石井貴子らしい自在戦はしばらくお預けとなるだろう。ファンの後押しで復帰を決断。一歩ずつゆっくりと前へ進む石井貴子のチャレンジを暖かく見守りたい。

 最後に今年7月で10年目に突入したガールズケイリン。最近は落車が目立つ。コロナ禍で補充がない状況だなので各地でレースカットが多発している。落車は車券を買っているファンが一番がっかりする案件。選手全員がもう一度気を引き締めて落車のない開催で終わらせてほしい。(競輪担当・松本 直)

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