【競輪】ガールズケイリン10周年 問題点の改善を
「競輪記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
ガールズケイリンは2012年7月1日、平塚競輪場で復活した。競輪創世期に存在した女子競輪は15年で幕を閉じただけに、ガールズケイリンが始まった時には、「まずあと5年は続いて欲しい」と思ったが、最近の人気、車券の売り上げを見ていると、ガールズケイリンがなくなる心配は全くなさそうだ。
しかし、現状のガールズケイリンで問題がないわけではない。
11年に突入することをきっかけに、いろいろと整備をする必要はあるだろう。
年末に行われるガールズグランプリを頂点にした、1年間の戦いにストーリーを持たせて欲しい。
まずはコレクションの廃止。選手数が少ない時には単発レースでよかったが、5月30日現在で179人のガールズケイリン選手が存在する。シーズンに分けて、3日制か4日制のトーナメントの開催を実施してみたらどうだろうか。名称に関しては男子の競輪に寄せるのがベストだと思う。春にダービー、夏にフェスティバル、秋にオールスター。11月に競輪祭。各トーナメントの優勝者にはグランプリ出場権を与えて、競輪祭の優勝者にはグランプリの1枠を与える。選考基準は以下の通り。ダービーは1年間の賞金。フェスティバルは優勝回数。オールスターはファン投票。競輪祭は競走得点。グランプリは各トーナメントの優勝者と、賞金上位者。1年間常に選考期間になっているだけに、選手のモチベーションも高くなるはずだ。
班分けに関しては選手数がもう少し増えてからになるので、私案を一つ。
ボートレースで開催している「だれが勝ってもデビュー初優勝」をガールズケイリンでも実施するのはどうだろう。競走得点40点台の選手は普通開催でモチベーションを保つのは難しいはず。グランプリ争覇級との予選での対戦で、勝つことは正直厳しい。だが、同じくらいの競走得点メンバーが集まる開催なら「今回は優勝を目指す」とテンションが上がるはずだ。3カ月に1回くらい「だれが勝ってもデビュー初優勝」開催があると、点数を持たない選手を応援しているファンも盛り上がるはずだ。
手を入れる案件がもう一つ。ディスクホイールの問題だ。今年4月のフレッシュクイーンの出場権を獲得していた岡本二菜が、自身が使用しているフレームと、フレッシュクイーンで使用するディスクホイールの互換性がなく、出場を取りやめたことがあった。
自分は以前からディスクホイールは廃止でいいのではないかと思っていた。開催ごとに違うディスクホイールメーカーを使用。車券前売り後でも、風の有無でディスクホイール、スポークホイールの変更など、車券を買う側からすると不確定要素が多いように思っていた。また選手への負担も大きい。前検日や開催中の指定練習は、選手自身が持ち込んだスポークホイールで練習。レース前にディスクホイールへ変更。レース後はまたスポークホイールへつけ替えと作業が多い。分宿など制限の多いガールズケイリン選手には大きな負担となっている。
ガールズケイリンは日本女子選手の世界大会での活躍を視野に入れ、国際準拠レースをコンセプトとして始まった経緯がある。2012年のガールズケイリン開始時にはカーボンフレーム、前輪バトンホイール、後輪ディスクホイールで始まった。2016年8月末、あらゆる気象条件下で一定の走行能力を提供すること、競技の安定性を高めることを理由に前輪のバトンホイールは廃止された。22年5月現在、ガールズケイリン選手が五輪出場を果たし、世界選手権でメダルを獲得するレベルまで上がってきた。この状況なら、後輪ディスクホイールにこだわる必要はないと思う。
今後、オールガールズ開催が増えてくれば、ディスクホイールを増やさなければならないはずだ。いまここで、ディスクホイールのあり方をじっくり考えるいいチャンスだと思う。
関係団体にはいろんな議論をして、よりよいガールズケイリンの発展を目指して欲しい。(関東競輪担当・松本 直)