「競輪記者コラム　仕事・賭け事・独り言」

　みなさんはガールズケイリンの車券を買うとき、何を重要視していますか？

　選手のレーススタイル、直近レースでの動き、枠番、競走得点、など予想方法は人それぞれ。その中でも選手のコメントは車券購入の大きなポイントになっている。

　今回は「戦い方のコメント」について書いていく。ガールズケイリンは単騎戦。７人の選手がそれぞれ得意の戦法で１着を狙っていく。男子の競輪との大きな違いはラインがあるかないかだ。

　競輪は戦法や並びのコメントがないと、車券推理が難解になる。もし、並びのコメントがなければ、毎レースで選手紹介をチェックして、並びを確認しないと怖くて車券が買えない。

　しかし、ガールズケイリンは単騎戦。並びのコメントはない。取材現場で翌日のメンバー表を見せて戦法のコメントを聞いているが、最近は「自在」とコメントを出す選手が増えている。７人中、７人全員が自在とコメントをする場面が目につく。

　なぜ、自在が増えたのか、取材をしてみると選手の複雑な心境が分かってきた。「自力ってコメントを出しても、スタートや道中の並びで作戦は変わる。自在ってコメントをしておけば先行、まくり、差しと何でもできるから」と話してくれた。

　選手は勝つために走っている。自力とコメントを出した選手でも、スタートや道中の並びの中で、徹底先行選手の後ろがすんなり取れれば、その位置を守って差し勝負に構えることがベスト。瞬時の判断がレースの最中で求められている。しかし、自力とコメントした以上、早めに仕掛けないと自力を出すと思って車券を買っているファンを裏切っていることになってしまう。

　そこで提案。ガールズケイリンの戦法コメントは廃止してもいいのではないだろうか。戦法コメントで戦い方に制限が付くならば、いらないと思う。

　「自力」、「自力自在」、「自在」「前々」、「好位狙い」までなら理解できるが、「取れた位置から」では何をしたいのかは、はっきり言って分からない。

　並びに関するコメント（○○選手の後ろ）のように位置を主張するコメントができない以上、どの選手も基本的には流れの中で勝つために臨機応変に走っている。事前にコメントした戦法に縛られることがないほうがいいと思う。

　もちろん、前検日には開催に向けての調整、練習方法、調子の善しあしなどはコメントが必要。また開催中はレース展開の振り返りや意気込みなど、戦法以外はいっぱい話してもらいたい。

　取材する側としては「自在」のもう一歩、二歩、踏み込んだ先の選手心理を聞き出して、新聞にたくさん載せることで、ファンは車券購買意欲が湧くはずだ。

　レース体系の整備だけではなく、車券を購入するファンの目線に立った改革にも期待をしたい。（関東競輪担当・松本直）