【ボート】デビュー以来1500走フライングなし ボートレース界の無事之名馬!?岩橋裕馬

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 ボートレース界にあっても「無事之名馬」とでも言うのだろうか、彼はデビュー以来、フライングをすることなく「1500」ものレースを重ねてきた。兵庫支部に所属する岩橋裕馬(35)=118期・B1=。5月29日、尼崎ボートで行われていた一般戦最終日での2走を走り終え、ひとつの区切りを迎えた。

 「スタート(S)は的確に行けるように心がけて乗っています。デビュー以来、フライングがないということも意識しています」と岩橋。この節は予選を15位でクリアし、準優勝戦は4着で、自身4回目の優出こそ逃したが、最終日の2走は1、6着として、記録達成の日にひとつ勝利を加えた。ちなみにこの1500走に続くのは、442走の藤田俊祐(22)=東京・129期・A2=となるだけに、いかにこの数字が飛び抜けたものかが分かるだろう。

 ボートレースではフライングスタートが採用されている。公式HPの説明によれば「ボートレース独特のスタート方法。各レーサーがタイミングを計って、大時計が0秒から1秒を指す間にスタートラインを通過するというもの。大時計が0秒を指すより少しでも早くラインを超えてしまった場合はフライング(F)、1秒を過ぎてラインを通過した場合は出遅れ(L)として欠場になる。フライングまたは出遅れした艇の舟券は、すべて返還になる」とある。

 つまりは選手がFを犯せば、施行者は売り上げを返還しなくてはならない。SG「ボートレースオールスター」(多摩川)に出場していた人気女子レーサー、守屋美穂(35)=岡山・101期・A1=が、5月25日の準優勝戦でFを切った際には、1億8925万5400円が返還となったが、この大きな額に加え、Fを犯した選手へのSGやG1、G2への出場制限などの“罰則”もニュースとして取り上げられた。

 しかし、岩橋が2016年5月にボートレーサーとなってから一度もFを犯さず、走り続けていることはあまり知られていない。A級に昇格したことも、優勝したことも実は一度もなく、ファンにはかつて日本ミニマム級1位にもなった元プロボクサー出身として馴染みがあるぐらいだろうか。

 記録の評価が難しいので、あるA1レーサーにこの岩橋の記録についての評価を尋ねたところ、「やっぱりFがないということは主催者にとってはいい選手。いろんな意味で事故がなくレースを進行できることがベスト」と私見を披露してくれた。

 S鋭く攻め込む選手、ハンドルさばきで勝負する選手、機力を生かしてレースを支配する選手などなど、ボートレースは多彩にせめぎ合う世界。そんななかで91勝(5月末現在)を挙げている岩橋が的確なSと巧みなハンドルを駆使して、“無事”にA級昇格、そして初優勝をつかみ取ることを楽しみにしている。(関西ボートレース担当・中村博格)

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