【凱旋門賞】覇者・トレヴ不調で大混戦
「凱旋門賞・仏G1」(5日、ロンシャン)
世界レーティングNo.1馬ジャスタウェイ、G1・5勝馬ゴールドシップ(ともに牡5歳、栗東・須貝)、日本の3歳牝馬として初めて参戦するハープスター(牝3歳、栗東・松田博)の最強トリオが挑む大一番が、いよいよ発走する。4日に最終調整を無事に終え、態勢は整った。
今年の凱旋門賞はひと言で言うと“大混戦”。その要因は有力視されていた面々が、故障で直前にリタイアしたことや前哨戦で次々と敗退したことだ。
その最たる馬が、昨年の凱旋門賞でオルフェーヴルを5馬身ぶっちぎり、5戦無敗で頂点に立ったトレヴだろう。今年初戦のガネー賞・仏G1で2着に敗れ初黒星を喫すると、続くプリンスオブウェールズS・英G1でも3着に敗退。立て直されて必勝態勢で臨んだ前走のヴェルメイユ賞・仏G1でも4着に敗れたことで主役不在の状態となった。
代わって浮上してきたのが3歳馬の精鋭たち。エクトは昨年、キズナが勝利した3歳限定の前哨戦ニエル賞・仏G2を快勝。5カ月ぶりの実戦、1600→2400メートルの距離延長をものともせず6連勝を決め、戦績を7戦6勝とした。G1勝ちこそ2歳時の1勝だが、前走でも見せた一瞬の決め手は脅威となる。
アヴニールセルタンは、昨年のトレヴとイメージがダブる。仏牝馬2冠を含む6戦無敗馬で、この馬も強烈な末脚が武器。日本でもおなじみのルメールを背に、2年連続で無傷の女王誕生を狙う。
8月のヨークシャーオークス・英G1で5戦目にして初黒星を喫した英国馬タグルーダだが、3歳牝馬として38年ぶりにキングジョージ6&クイーンエリザベスS・英G1を制した実力は折り紙付き。前走の敗戦もフケの影響があったという説もあり、あっさり巻き返しても不思議はない。
そのタグルーダを破ったのがタペストリー。当初は参戦予定がなかったが、今週になって約1600万円の追加登録料を支払い、参戦を決めた。近年、日本での活躍も目立つ鞍上のムーアともども不気味な存在となる。
独ダービーを11馬身の大差で勝ったシーザムーン(故障により引退)にバーデン大賞・独G1で初黒星をつけたアイヴァンホウは、4歳馬ながらキャリア7戦と伸びしろはたっぷり。鞍上に名手デットーリを迎え、前哨戦のフォワ賞・仏G2で復活Vを決めた昨年の英ダービー馬ルーラーオブザワールドもここにきて評価が上昇してきた。