藤田菜七子の『演技力』に師匠が強烈な駄目だし!?

 7月上旬に弊社の澤田記者が北海道へ出張するため、馬サブローの厩舎取材班として彼が普段担当している根本康広厩舎は、しばらくワタクシが請け負うことになった。というわけで、昔から知っている間柄ではあるものの、根本先生に先日「夏場はよろしく」とあいさつ。その際、久々に雑談をした。

 現在の競馬界は騎手を育てにくい環境となっていることが否めず、所属のジョッキーを持たない厩舎が美浦では大半を占めている。そんななか丸山元気、野中悠太郎、そして藤田菜七子と3人も騎手を預かる『太っ腹』が根本師。まあ、それだけ人望のあるお方なのだと、まずはヨイショをしておきましょう。

 「そう言えば、菜七子のCMがネット上で”アイドルよりもかわいい”と評判ですよ」とワタクシが話を振ると、「そうみたいだな。たださあ、セリフが棒読み!あれはいかん」。さすがは1988年に公開された映画「優駿」で競走馬オラシオンをダービー馬へと導く奈良五郎騎手を演じ、芸能の分野でも『先輩』…その見立てはなかなか厳しい。

 ちなみにご存じのない方もいるかもしれないため説明すると、前記の映画を撮影した87年日本ダービーを制したのが、オラシオンのモデルとなったメリーナイス。そして騎乗したのが根本騎手。その縁で”役者・根本康広”が誕生したわけだ。

 ただこれには逸話があり、同年の日本ダービー1番人気は、スプリングSで今でも伝説の追い込みVを飾った「単枠指定」マティリアル(結果は24頭立ての18着)。東京競馬場でのレースシーンの撮影は、マティリアルを中心に行ったという。だが勝ったのは4番人気のメリーナイスで、映画で使う予定だったフィルムはほとんどがボツになったもよう(ということは、本来出演するはずだったのは岡部幸雄さんだった、のかな?)。

 当然、レースの再撮影は不可能なため「撮り直しは美浦の本馬場でやったんだよ」。そして「メリーナイスにそっくりな馬を探して連れてきたんだけど、それがエビ(屈腱炎)気味で全く走らない。苦労したなあ」と懐かしそうに振り返った。

 さて、そんな『調教師兼役者』のトレーナーが現在ハマっているのは、”メルカリ”というサイトへ私物を出品すること。ただし、ムチやゴーグルなどの競馬グッズではなく、子どもの頃から捨てずに保管していたプラモデルやフィギュアが中心だという。

 「あっ!これ見て!オーストラリアで買ったピンバッジが売れたんだ~。420円」とうれしそうに、カンガルーバッジが映る携帯画面をワタクシに見せてくれました。もっとも購買者の方は、売り手がまさか『JRAのレジェンド』だとは思ってもいないだろう。

(馬サブロー美浦支局・玉川 祝)

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