ケイバ熱盛ブログ「角居師との思い出」(2月12日)

 どうもデスクのHです。3月は別れの季節と言いますが、中央競馬では2月になります。今月いっぱいで定年を迎える調教師、引退する騎手。今年も取材でお世話になった多くの人が去って行きます。

 その中のひとり、角居勝彦調教師は家業の天理教を継ぐため、定年を待たずに勇退。同じ石川県金沢市出身ということで、勝手に親近感を覚えていただけに、余計にさみしいです。

 金沢市内の進学校を卒業後、獣医師を目指すも大学受験に失敗。もともと技術が持てる仕事に就きたいと思っていたこともあり、父の友人のツテで北海道の牧場で働くことに。それがきっかけで競馬の世界に入り、JRA競馬学校を卒業後、中尾謙太郎、松田国英厩舎で調教助手として過ごすと、松田師のアドバイスもあり、調教師試験に3回目の受験で合格しました。

 今から17年前の2004年。当時発行していた東京版の夕刊デイリーで「夕刊SPECIALインタビュー」のコーナーがあり、「人生の転機」として角居師を取材しました。競馬記者1年目。菊花賞をデルタブルースが制し、開業4年目で初のG1タイトルを手にした直後でした。「厩舎の人間にはきつい仕事をやらしているので、結果を出したかった。やってきた仕事が間違いじゃなかったと、みんなもうれしかったと思います」と、自分の信念が実を結び、喜んだ姿が思い出されます。

 その後は数多くのG1馬を輩出し、ウオッカでは牝馬で64年ぶりとなるダービーV。「ゆくゆくは海外遠征もしたい」と話していましたが、シーザリオで米オークス、デルタブルースでメルボルンC、ヴィクトワールピサでドバイワールドCなど、海外のビッグタイトルも手にしました。また、引退馬のキャリア支援も行うなど、トップトレーナーとして存在感を見せています。

 「金沢は自分のリズムがある街。時間の流れが違うように感じます。空襲を受けなかったこともあって、街並みも大きく変化しませんね」。当時、記者が印象に残った言葉です。第二の人生でも角居師は自分の信念を貫き、リズムを崩さないでしょう。そして、しっかりと足跡を残すはず。同郷の人間としてエールを送りたいです。

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