ケイバ熱盛ブログ「シゲルピンクダイヤの思い出」(2月5日)
力になれることは何もなく、ただ、応援するのみ。受験生の息子を見守るしかない栗東・井上です。思えばワタクシの受験なんて、親不孝の塊でした。京都の大学を受験した帰りに淀駅で下車し、きさらぎ賞の行われる京都競馬場へ。南井騎乗のシンホリスキーが勝ち、応援していたミスタースペインは2着に…。おっと、高校生でした。馬券は買っちゃダメですからね。ええ、もちろん観戦です。
競馬歴も35年になると、思い出の馬が増える一方。最近では大好きなシゲルピンクダイヤが引退し、繁殖入りした。19年桜花賞前日のこと。信号待ちしていると、停止したトラックの運転手から声をかけられた。「井上さん!デイリーの井上さんやろ?昨日、グリーンチャンネル出てたな。あとラジオも出てるやろ。明日のシゲルピンクダイヤ!買うから、頼むで!」。いかにも“関西人”といった光景だ。前日にグリーンチャンネルの『トラックマンTV』で◎シゲルピンクダイヤを推奨したから、その影響だろう。
桜花賞の結果は2着だったが、優勝馬はG1を6勝したあのグランアレグリア。シゲルピンクダイヤは7番人気馬だったから、運転手さんも喜んでくれたんじゃないか。
振り返れば、あの桜花賞がベストパフォーマンスだったのかもしれない。10番人気の秋華賞で3着と健闘するも、続くターコイズSは1番人気を裏切り3着。その後、馬券に絡んだのは中日新聞杯だけで、9番人気の20年が2着、10番人気の21年が3着。勝ったのはデビュー2戦目の未勝利戦だけだった。
1月19日付で競走馬登録を抹消され、北海道むかわ町の平岡牧場で繁殖牝馬になる。渡辺師に思いを語ってもらった。「1つしか勝たせてあげられなかったのは悔いが残りますね。気難しくて苦労しましたが、厩舎としてもボクとしても思い入れの強い馬。開業2年目に預かったので、勉強にもなった。人気すると走らないし、相手が強い方が走る不思議な馬でした」と感慨深げにした。
ゲート入りに手こずるため、陣営も色んな策を練り、頭を悩ませた。「東京の発走委員に怪力な人がいて、入れてくれる」と、ホンマかいな?といったエピソードも。発馬も安定しないが、五分に出た時よりも出遅れた方が着順が良かったり。渡辺師が「出来は最高にいいので、これで走らなければ諦めます。引退です」と苦笑いした昨年の中日新聞杯は3着と一変。1走だけ引退が延期となった。人の言葉を理解して、ワザとやってるんじゃないか?と疑いたくなる馬だった。
「妹もいますし、ピンクダイヤの子どもも楽しみにしたい」とトレーナー。次走に京都牝馬Sを予定する半妹シゲルピンクルビーの活躍を、そして、来年にはピンクダイヤの子が元気に誕生することを願いたい。