ケイバ熱盛ブログ「あまり知られていない騎手大賞」(12月28日)
1月5日と12月28日。毎年、競馬開催日に誕生日を迎えられるのは限られた人だけ。今日、50歳となりました栗東・井上です。馬は誕生日に関わらず、年が明けると全馬1歳年齢を重ねます。似たようなものやな…と、勝手に親近感を覚えています。
開催最終日のこの日、川田Jのリーディングが決定しました。キャリア19年目で初のタイトル獲得。さらに、最多勝利騎手、最高勝率騎手、最多賞金獲得騎手の3部門受賞によって『騎手大賞』も獲得しました。「騎手大賞はすごいよな」。そんな言葉に同意されるかと思いきや、「何、それ?」と知らない記者もいたので、簡単に説明したいと思います。
過去には岡部幸雄元騎手(87、91年)、武豊J(97~00年、02~06年)、C・ルメールJ(18年)と3人しかおらず、史上4人目の快挙です。07~17年、さらに19年以降のここ3年と、該当者なしの年が多くあることからも、達成することの難しさが分かります。さらに、今年は年間100勝以上の騎手が7人もいる中での騎手大賞ですから、スゴイの一言でしょう。
今年のラスト騎乗となった阪神11Rのあと、川田Jに心境を聞かせてもらいました。「この秋は騎手大賞を目指してやってきましたから。流れの悪い時間もある中で、騎手大賞を取れたということは感慨深いものがありますね。19年かかりましたから…。負けてる時間が圧倒的に多いなか、たくさんの有力馬の依頼を頂いて、関係者の方々に感謝しかないです。応援してくれている人が喜んでくれると思うので、そういう時間をありがたく感じます」。重圧から解き放たれたからでしょう。ホッとした表情に感じました。
17年以降、5年連続でC・ルメールがトップに君臨。日本人として何とかその座を奪い返したい-。その気持ちが騎手大賞という栄誉に結びつきました。「若い子たちが改めて夢を見られるように、という思いで、日本人として責任を感じながらやってきました。そうしている間に、若い子たちが育っていき、夢を見られる状況になったと思います」としみじみと語りました。
リーディング2位はこれまで4度あり、13、19、20、21年と3年連続の銀メダルでした。悲願だったトップの座。そして、価値の高い騎手大賞の獲得。22年の功績は、きっと今後のキャリアに大きな意味を持つことでしょう。23年の川田Jはどう飛躍するのか-。ますます楽しみになりました。