藤浪大乱調も大阪桐蔭が春夏連続切符
「高校野球大阪大会・決勝、大阪桐蔭10‐8履正社」(29日、舞洲)
大阪は甲子園春夏連覇を目指す大阪桐蔭が4年ぶり6度目の優勝を果たした。ドラフト1位候補の153キロ右腕・藤浪晋太郎投手(3年)が先発したが、9点リードの八回に7安打2四球で7点を失い、7回1/3を8失点で降板。沢田圭佑投手(3年)につなぎ2点差で逃げ切った。奈良は天理が2年ぶり26度目、愛知は愛工大名電が延長十一回の末、春夏連続で5年ぶり10度目の夏の甲子園出場を決めた。
優勝メダルの輝きと逆に、藤浪の表情は曇っていた。「情けないと言うしかないです」と悔しがった。初回、無安打で1点を失ったが、7回までわずか3安打で10‐1。マリナーズなど日米9球団22人が視察する中、151キロをマークするなど余裕さえ見せていた。
しかし八回、内野ゴロ、四球と3連打で2失点し、1死を取ったが再び2連打と押し出し四球。打者一巡したところで沢田に交代した。自身の公式戦ワースト8失点で「調子は悪くなかったが、コースに決めたはずがボールになり、集中力が続かなかった」と連鎖を止められなかった。
「夏は何があるか分からない」と改めて実感した。前夜、西谷浩一監督(42)から「去年の借りを取り返してこい」と伝えられていた。昨夏は決勝・東大阪大柏原戦で先発も七回途中、5失点で降板。救援した3年生の中野も打たれ、サヨナラ押し出し死球で6点リードを守れず逆転負けした。
「去年のイメージを思い出すことはなかった」とプレッシャーに打ち勝って登板したはずだが、また終盤に失点。「2点、3点と取られても降板させられず、監督の思いが伝わってきた。甲子園ではいい投球をして応えたい」と話した。
救援した沢田は「2番手はどんな場面でも藤浪を負けさせないことが仕事」と胸を張った。「みんな去年から成長したのに、僕だけ成長できていない」と藤浪。仲間に助けられてたどり着いた聖地では、春夏連覇へ導く投球で恩返しする。