“ミラクル鳴門”サヨナラでセンバツへ
「秋季高校野球四国大会・準決勝、鳴門5-4済美」(3日、春野)
済美(愛媛1位)に逆転サヨナラ勝ちした鳴門(徳島1位)と、徳島商(徳島2位)との打撃戦を制した高知(高知1位)が来春のセンバツ出場を確実にした。四国地区の出場枠は3校のため、決勝進出を逃した2校にも可能性は残されている。
“ミラクル鳴門”は新チームにも継承されていた。看板の強力打線がプロ注目の1年生右腕、安楽を3点ビハインドの九回に攻略。今春センバツで2戦連続で見せたお家芸のサヨナラ劇。3季連続甲子園を確定させたナインは無我夢中で抱き合い、喜びを爆発させた。
最終回は先頭の伊勢が放った左前打を皮切りに4安打を集中し同点。最後は1死一、二塁から敵失に乗じて決勝点を奪った。遊撃手の後逸を誘う一打を放った松本は「調子が悪いのに一番で起用し続けてくれた。チーム全体でつないでくれて、勝ちにつながりほっとした」と感涙にむせんだ。
九回に1点加えられ敗戦ムードが漂っていた。しかし、このまま終わるわけにはいかなった。済美との対戦が決まると、マシンを155キロに設定して安楽対策を講じてきた。八回まで計15三振を喫したが、最後の最後にナインの意地と執念がバットに乗り移った。
「低めに決まる直球とスライダーに苦しめられたが、最後は開き直って向かっていくことができた」。4タコに終わった河野主将だが、チームの劇的な勝利に笑顔がはじけた。「三振はなんぼ取られてもいい。最後に1点多く取ればいい」と言っていた森脇監督も「そのとおりの試合になった。よく勝った」と教え子の粘りを称賛した。
明治神宮大会の出場権を懸けて戦う決勝は2年連続で高知が相手。前回はサヨナラで勝っている。河野主将は「去年の王者として堂々と戦い、明日も勝って2連覇したい」と宣言。新チーム結成以降、一戦一戦の積み重ねで戦ってきたチームが今年も秋の四国を制す。