尾藤氏長男率いる箕島がコールド発進
「高校野球和歌山大会・2回戦、箕島8‐0和歌山西・和歌山北」(16日・紀三井寺)
36大会で試合が行われ、昨夏まで3季連続甲子園大会準優勝の八戸学院光星(青森)が順当に4回戦進出を決め、今春の選抜8強の仙台育英(宮城)北照(南北海道)も快勝した。他の選抜出場組では、東北絆枠の山形中央や花咲徳栄(埼玉)早実(西東京)は勝ち上がったが、安田学園(東東京)は初戦で敗退。北北海道では来春の閉校が決まっている駒大岩見沢が準々決勝で敗れ、昨夏代表の旭川工も姿を消した。
“尾藤箕島”が七回コールド快勝で夏の一歩を踏み出した。2011年に死去した尾藤公元監督の長男で、今年3月に就任した強監督(43)は夏の大会初采配初勝利。「もう少し緊張すると思っていたが、楽しくできた。ミスをカバーし合えた」と笑顔で振り返った。
先発を託されたのは背番号「10」の須佐見将馬投手(3年)。6回を4安打無失点に抑え、二回の攻撃では1死一、三塁から先制スクイズを決めた。「点差もあり打者に集中できた。スクイズを決めて楽になった」と声を弾ませた。
春季近畿大会までエースだったが、ライバル・高川の成長で背番号「1」を譲った。一度は落ち込んだが「1番よりも頑張らないと、という意識が生まれた」と切り替えた。尾藤監督も「甲子園でまた1番をつけられるように頑張ってほしい」と好投をたたえた。昨秋、同校コーチに就任した際に部員全員に手紙を渡した。須佐見には「お前の本気のストレートは誰も打てない」という言葉。自らも高校時代に投手だった経験から、その右腕に期待をかけた。
春の和歌山大会を制した同校が目指すのは1984年以来の夏の甲子園。「1勝は(和歌山大会を)5つ勝つための第1ステージ。父のことを考える余裕はなかった」とはにかむ尾藤監督。「このチームで甲子園へ行きたいとあらためて思った」。公さんの遺志を継ぎ、聖地を目指す。