箕島12年ぶり4強!29年ぶり夏あと2勝
「高校野球和歌山大会・準々決勝、箕島7‐1那賀」(24日、紀三井寺)
2011年に死去した尾藤公元監督の長男、尾藤強監督(43)が率いる箕島が、7‐1で那賀を下し、12年ぶり21度目のベスト4に進出した。4番・山下拓馬外野手(3年)が3安打1打点の活躍でチームをけん引。29年ぶりの夏の甲子園出場へあと2勝と迫った。この日は24大会で試合が行われ、熊本では熊本工が4年ぶり20度目の代表となった。今春のセンバツに出場した山形中央、早実、広陵などは姿を消した。
29年ぶりの夏の聖地が見えてきた。昨夏準優勝の那賀を下し、箕島がベスト4進出を決めた。0‐0の三回、2死二塁から3番・中西の中越え適時二塁打で先制すると、4番・山下、5番・上野も適時打。瞬く間に3点のリードを手に入れた。ベンチでは選手と尾藤監督の笑顔がはじけた。
春までは個人主義の集まりだったという。「自分の調子が悪いとシュンとしてしまう。試合中も半分はノリノリでも、もう半分は下を向いていた」と尾藤監督。そんなチームを3月に就任した尾藤監督が一つにした。主将の中西は「『技術より大切なことがある』と繰り返し話をしてくれてまとまりが出てきた」と実感する。ベンチからは明るい声が飛び続け、「(控え選手の)橋中を中心にいい雰囲気をつくってくれている」と指揮官は目を細めた。
3安打を放った山下の父・浩仁(こうじ)さんは、同校野球部OBで尾藤監督の1学年下。父からは「(監督は)熱い人で箕島のことを一番に思っている人」だと聞かされている。
投げては今大会初先発の背番号1・高川が1失点完投勝利。チーム一丸で手にした12年ぶりの4強だ。しかし、「12年ぶりでも50年ぶりでも今の生徒たちには関係ない」と指揮官が浮かれることはない。「思い切り暴れて行けるところまで行きたい」。まだ道は半ば。行き着く先はもちろん甲子園だ。