延岡学園“やり直し”珍事もサヨナラ劇
「全国高校野球・準々決勝、延岡学園5‐4富山第一」(19日、甲子園)
最後は魂を込めた137キロのストレートで九回の窮地をしのぐと、延岡学園の奈須怜斗投手(3年)はマウンドで拳を握りしめた。「楽しかった。甲子園では打たれる気がしない」。連日のお立ち台で、ヒーローはピンクのユニホームに負けじと頬を紅潮させた。
ハプニングにも負けない。九回1死一、三塁のピンチで奈須は3番手として登板。二塁手の好守で併殺に切り抜け、大喜びでベンチに戻ったナインだが、審判はプレーのやり直しをコール。三塁側ブルペンから味方選手の球が外野に入り、投球前にタイムがかかっていた。抗議も認められず、九回1死一、三塁のカウント2ボールからプレーが再開された。
「ここで抑えたらまたお立ち台だ」。幻のゲッツーに動揺するどころか、笑顔で2者連続三振を完成させた。そのまま十一回まで投げ抜いた右腕の熱投が、執念のサヨナラ劇を呼んだ。