池田を久々の聖地に導いた投打の原動力
第86回選抜高校野球大会(21日開幕・甲子園)に出場する池田(徳島)の復活の原動力となったのが、エース・名西宥人投手(2年)と4番・岡本昌也内野手(2年)だ。名西は最速139キロの快速球と鋭いスライダーを武器にする“ノーヒッター”右腕。岡本は豪快なスイングで長打を放つチーム一のパワーヒッター。投打の柱としてチームを支える2人が、27年ぶりのセンバツで大暴れを狙う。
ひと回りたくましくなった体が、冬場の厳しいトレーニングを物語っている。「太ももが太くなったとよく言われます」。確かな成長を実感し、池田のエース・名西が甲子園のマウンドに立つ。
170センチと上背はないが、スリークオーターから最速139キロの伸びのある直球を投げ込む。自慢のスライダーにカーブ、チェンジアップを駆使。さらにセンバツに向けてスプリット習得にも励んだ。「精度はまだまだですが、本番で使えるように調整したい」。新球を完璧に身につければ、投球の幅は大きく広がる。
昨秋の県大会、海部との3位決定戦でノーヒットノーランを達成した。自信をつかんで臨んだ四国大会でも、安定感抜群の投球で決勝進出に導いた。
冬場は山道での走り込みや、ダンプトラック用のタイヤを引くトレーニングなどで下半身を強化。股関節の柔軟性を高めるストレッチも続けた。授業中もマスクを着用するなど体調管理も徹底。大会本番に向けて入念に準備を進めてきた。
対外試合が解禁され8、9日の鹿児島遠征で強豪・樟南戦など2試合に登板した。計10回1/3で3失点。岡田康志監督(52)は「球にキレがあった。仕上がっている」と納得の表情だった。
14日には組み合わせ抽選がある。名西は「一番強いチームとやりたい」と自信にあふれる笑みを浮かべた。強気で乗り込む聖地のマウンド。「勝ちにこだわる投球をしたい」と力を込めた。
一方、打の主役である岡本は、豪快なフルスイングが持ち味だ。現チームでただ1人、学校グラウンド左中間にそびえるネットを越えたことがある。さらに「冬場の練習でスイングスピードが上がりました」と岡本。小柄な選手が多い中、池田の4番らしい雰囲気が漂うパワーヒッターだ。
昨秋の県大会は、4試合で16打数12安打と打ちまくった。勝負強さも抜群で、岡田監督は「頼もしい」と目を細める。
夏春連覇した82、83年当時の映像を見て池田野球部にあこがれた。特にエースで4番だった水野雄仁氏(現野球評論家)の打撃が好きだった。
冬場は徹底的にスイングを繰り返した。「速い球を打つには、もっとスイングスピードを上げなければ」。チーム練習でどれだけ疲れていても、自宅に帰って素振り200回を毎日続けた。
目指すは“やまびこ打線”の復活。期待の4番打者は「甲子園でホームランを打ちたい」と迷いなく目標を口にした。