明徳エース岸3度目の大舞台頂点狙う
第86回選抜高校野球大会(21日開幕・甲子園)に出場する明徳義塾の右腕エース・岸潤一郎投手(2年)が、順調な仕上がりを見せている。MAX145キロの快速球に加え、冬場の練習で課題の制球力もアップ。自身3度目となる甲子園での目標はズバリ「全国制覇」だ。
MAX145キロの快速球右腕が、完成度を高めて聖地に乗り込む。「調子は上がっているし、チームの雰囲気もいい。優勝を目指したい」。明徳義塾のエース・岸は、ためらうことなく大きな目標を口にした。
昨秋の四国大会は準決勝で今治西に0‐4で完敗。馬淵史郎監督(58)は「センバツはほとんどあきらめていた」と言う。だが、四国の3番手で春の出場が決定。岸のトレーニングにも一段と熱が入った。
伸びのある直球にスライダー、フォークを駆使する。1年生でメンバー入りした一昨年夏の甲子園でベスト4。昨夏もベスト8に進出するなど、大舞台での経験も十分だ。
課題は制球力。昨秋の今治西戦でも高めに浮いた球を痛打された。その反省から、冬場はストライクゾーンの低めいっぱいにゴムを張って投球練習を続けた。
「最初は全然ダメだったけど、毎日意識してやっているうちに、低めにコントロールできるようになった」と成果を実感している。
昨秋から体重が2キロ増えて75キロになった。徹底的に走り込んで下半身の安定感も増した。馬淵監督は「体がひと回り大きくなった。本当の芯の強さが身についた」と成長を認める。
9日には“怪物”安楽を擁する済美(愛媛)と練習試合を行い、3安打完封の快投を披露。極めて順調な仕上がりで、センバツ本番を迎えようとしている。
主将も任され、練習中はグラウンド全体を見渡してチームの士気を敏感に感じ取る。バットを持てばクリーンアップ。まさに大黒柱として、名門チームを引っ張る。
年明け最初の練習で、馬淵監督から「今年は『攻めの年』にしよう」とハッパをかけられた。「出られないと思っていたセンバツに出られる。だから開き直って攻めたい」。エースの表情に不安の色はひとかけらもない。