履正社・溝田九回1死までノーヒッ投
「選抜高校野球・1回戦、履正社11-0小山台」(21日、甲子園)
1回戦3試合が行われ、第3試合では履正社(大阪)の溝田悠人投手(2年)が、ダルビッシュ(レンジャーズ)以来10年ぶりの無安打無得点達成まであとアウト2つの九回1死までノーヒットの好投。小山台(東京)に完封勝利した。
甲子園に詰めかけた3万6000人分の、悲鳴と歓声の交じったどよめきが、グラウンドを包んだ。
履正社の2年生右腕、溝田は九回1死まで25人に対し失策1つ、得点も、ヒットすらも許さなかった。ここで小山台の送り出した代打・竹下の打球は三塁手前に落ちる小飛球。サード辻が懸命にダッシュ、素手でつかんで送球したが、間一髪「セーフ」。
ノーヒットノーランの夢が消え、岡田監督も、溝田も捕手・八田も、何とも言えない笑みを浮かべ、視線を交換した。
「九回は、狙ってました」と話した溝田。「日頃の行いが悪いからですね」と笑ったが、3年前の秋のことが頭をよぎったという。
中学2年で出場した硬式野球の関西大会「タイガースカップ」の第1試合、姫路アイアンズのエースとして最終回1死まで無安打をしながら、右前打で夢破れた経験がある。場所も、甲子園。「こういう場所なんだなあ、と」と再び苦笑いだ。
それでも堂々の完封勝利。序盤は130キロ台の直球が浮き、横のスライダーの効力もいまひとつ、という中で、緩い“縦スラ”を多投する対応力でまともにスイングさせなかった。「(記録を)やらせてやりたかった」という岡田監督に、もっとすごいプレゼントの予感が漂う。