小山台・河合、亡き恩師と新たな約束
「選抜高校野球・1回戦、履正社11-0小山台」(21日、甲子園)
開会式に続いて1回戦3試合が行われた。初出場した21世紀枠の小山台(東京)は、0‐11で履正社(大阪)に完敗した。
きっと恩師はこう言ってくれるだろう。「夏にまた頑張れ」。だから涙は流さない。1安打完封負けを喫したが、河合は前を見据え言葉に力を込めた。
1番・三塁でスタメン出場。初安打が飛び出した九回2死一塁での打席は遊ゴロに倒れた。最後の打者となり試合終了。自身も4打数無安打に終わった。
吉田傳男監督に感謝する甲子園だ。板橋二中で吉田監督と出会い人生が変わった。「入部時に『野球、勉強、生活で一流になれ』と言われた」。中学時代、勉強は得意ではなかった。その一言で文武両道を掲げる高校への進学を目標に掲げた。
「1日8時間は勉強した。全教科頑張った」。「50」だった偏差値は、3年時には「68」へ。都立有数の進学校に合格し、甲子園へ導かれた。
吉田監督は河合が2年の時に練習中に体調不良を訴え入院。理由は知らされなかったが、「熱が引かなかったと聞いた」。50代の若さでこの世を去った。尊敬する恩師との早過ぎる別れに、涙が止まらなかった。
持ち帰った甲子園の土は、墓前に供える予定だ。「少しは恩返しできたかな」。ふと思い出し、少し目頭が熱くなった。「『ありがとうございました。次、頑張ります』と言います」。今夏、再び聖地へ‐。そう恩師と約束する。