池田、逆転サヨナラ「攻めダルマ」伝心
「選抜高校野球・1回戦、池田4‐3海南」(22日、甲子園)
27年ぶり出場の池田(徳島)が、4‐3で海南(和歌山)に逆転サヨナラ勝ちした。2001年4月に蔦文也元監督が77歳で亡くなって以来、初の甲子園で劇的な白星を飾った。1点を追う九回無死満塁の場面で、途中出場の林涼平外野手(3年)がサヨナラ打。“やまびこ打線”の復活に4万4000人が沸き上がった。池田は第7日の2回戦で豊川と対戦する。
「攻めダルマ」の魂が乗り移っていた。2‐3の九回、無死満塁。途中出場の7番・林が放った鋭い打球が中前に抜けた。4万4000人の大歓声の中を、三塁走者・岡本に続いて二塁から木村が生還。池田が劇的な逆転サヨナラで、27年ぶりの勝利をつかんだ。
興奮冷めやらぬ甲子園に、懐かしいメロディーが響いた。たたえよ池高、輝く池高…。一塁側アルプスは大合唱だ。前回甲子園に出場した92年夏の3回戦・神港学園戦以来となるサヨナラ勝ち。「校歌を聞いて、じ~んときた。苦労が一気に吹き飛びました」。岡田康志監督(52)は目を潤ませた。
亡き恩師・蔦文也元監督が作り上げた“やまびこ打線”に比べ迫力には欠ける。だが新世代の「IKEDA」は、アルプスに詰めかけた全盛期のOBたちの前で持ち味のしぶとさを存分に発揮した。
初回の1安打以降、七回まで打線は沈黙。しかし、八回に4安打を集中して2点を奪い1点差に迫った。九回も4番・岡本の右前打を皮切りに、一気に満塁の好機をつくった。
「第1ストライクを思い切り振るんぞ」。今も変わらぬ「攻めダルマ」の教えだ。1ボールからの2球目をはじき返した殊勲打の林は「緊張で腕が震えていたけど第1ストライクを思い切り振れた」。昨秋のチーム打率は・254と低いが、冬場の強化で「“プチやまびこ打線”でいけると思った」と笑った。
「鍛錬千日、勝負一瞬」。蔦元監督が好んで口にした言葉だ。27年ぶりのセンバツ。前回出場からおよそ1万日の鍛錬を経て、終盤に訪れた一瞬の勝機をものにした。
徳島を出発した17日朝、指揮官は蔦元監督の自宅を訪れ、妻・キミ子さんから「1回は勝ってよ」と激励された。「約束を果たせました」。山あいの町の子どもたちがつかんだ復活星。池田の新時代の扉が、勢いよく開け放たれた。