神村学園・野崎、夏こそ聖地で兄弟対決
「選抜高校野球・2回戦、福知山成美12-0神村学園」(27日、甲子園)
悔しさだけが募った。0‐12の大敗。ベンチで敗戦を見届けた神村学園(鹿児島)・野崎大成外野手(3年)は、口元を固く結んで引き揚げてきた。
初戦の岩国戦では3安打を放ったが、この日は2打数無安打で途中交代。「四回のチャンスに強い打球を打てず、チームに流れを引き寄せられなかった」と声を絞り出した。
1歳下の弟・浩二は延岡学園(宮崎)の野球部に所属している。昨夏の甲子園では1年生ながらベンチ入りして準優勝を飾った。大舞台でプレーする弟の姿を、兄は野球部の寮のテレビでうらやましい思いで見つめた。
弟から遅れること半年、兄も同じ舞台に立ち、弟が打てなかった安打も3本打つことができた。しかし、「自分は優勝して弟を超えたい」という思いはかなわなかった。これまで兄弟で試合をしたことは一度もない。「最後の夏は甲子園で弟と戦いたい」という新たな目標が生まれた。
兄弟対決を強く望むのは、弟に勝ちたいだけが理由ではない。2人は約6年前に母・慶子さんを病気で亡くしている。「僕たちが野球をやっている姿を母はほとんど見ることができなかったので、甲子園で2人で頑張れば空の上で喜んでくれると思うんです」。亡き母への思いを胸に、野崎兄弟が集大成の夏を目指す。