関東一・前田、少しでも伊豆大島の力に

 「選抜高校野球・2回戦、明徳義塾3‐2関東第一」(29日、甲子園)

 故郷、伊豆大島が甚大な土石流災害を受けたのは昨年10月だった。台風26号の記録的大雨により、三原山の中腹が崩落。39人の死者・行方不明者が出た。

 約1カ月後、秋季大会を終えて島へ戻った関東第一(東京)の前田耕司内野手(3年)は、土砂に埋もれた町に思わず息をのんだ。「テレビで見るより何倍もひどい状況だった。山から流された木も海にたくさん浮かんでいて災害時を想像すると怖くなった」

 幸い実家の豆腐店に被害はなかったが、姉の同級生の両親や、近所の酒店店主らが犠牲になった。徐々に復興は進んでいるが、現在も仮設住宅に住んでいる人は多い。被害の大きさに心が痛んだ。

 「少しでも島の力になりたい。自分にできることは精いっぱい野球で頑張ってチームに貢献すること。チームが勝てば島の人たちも喜んでくれると思う」

 中学を卒業後、強豪校で高いレベルの野球に挑戦したいと島を出た。背番号「13」を背負って臨んだ今大会は、初戦の美里工戦(24日)で代走から一塁の守備に就いたが、打席は回ってこなかった。そして、この日は出場機会がなく、チームも1点差で惜敗。悔しさだけが残った。

 「自分の力不足です。課題の打撃にもっと磨きをかけてチームに必要な選手になりたい。また明日から気持ちを切り替えて練習します」。高校最後の夏は自らのバットで故郷へ希望を届けたい。

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